10月15日(2019年)正午現在、68人死亡19人の行方不明者をだした台風19号。被害を大きくしたのは、37河川の52か所で起きた堤防の決壊や河川の氾濫だ。本州を直撃して4日目になる15日も、深刻な事態は続いている。
茨城県では那珂川が氾濫するなどし、1人の死者と1人の行方不明者が出た。水戸市の水戸北スマートIC付近では、那珂川を挟んで直線で約3キロが浸水。4日目にしてようやく、コンビニやファミレスなど上半分の部分が姿を現した状態で、被害状況を把握することもまだできない状況だ。
「水が来る!」と寝言でおびえる子どもたち
また、この地域では空き巣被害も多発しており、地元住民をさらに追いつめている。伊藤遼アナは現地から、「避難をしていたが空き巣被害が怖いから電気や水がなくても無理やり家に戻って自宅待機している人もいるようです。本当に胸の詰まる思いです」とリポートした。
水戸市に住む被災者の男性は変わり果てた街の姿を前に「やっぱり自然と戦っても勝てないんだなと...。子どもも昨日も『水が来る』って寝言を言っていたので、(引っ越しを)考えます」と、涙で喉を詰まらせた。
栃木県佐野市では利根川水系の秋山川の堤防が決壊。水が引いた街では、土砂のかき出しとその処理が問題になっている。中山美香レポーターは粘り気のある黒い泥に埋め尽くされた住宅街に立ち、「あまりにも多くの泥が流れ込んできてしまい、自分たちでかき出すのは限界があるとみなさん話しています。かき出した泥をどのように処理していいのか分からないという声もあります」と住民の声をリポートした。
何回も大水害を起こす千曲川に打つ手なし?
2人が亡くなり、2人が行方不明の長野県では、千曲川の堤防がおよそ70メートルにわたり決壊し、大規模な浸水被害があった。リンゴ農園を営む米澤孝典さん(82)は「これから収穫しようってときにこの状態じゃもう...やりようがない。」と泥まみれの農園を見て肩を落とす。農機具だけで1000万円の被害が出たというが、保険には入っていない。米澤さんは「(自分も)歳も歳だからここで(りんご作りに)見切りを付けようと思って」と話した。
千曲川はたびたび氾濫し、1950年以降、5回の大水害が起きている。東京理科大学の二瓶泰雄教授は「地形的な特徴で、川幅が狭くなる狭窄部がいくつかある。川幅の狭い場所では水が流れにくくなる特徴があり、その上流に水が溜まり、決壊が起こりやすい。対策を上回る量の雨が降ってしまった」と話す。
箕輪厚介(編集者、実業家)「防災も大事ですが、想定を超えてしまうことがこれだけ頻繁に起こると、災害が起こることを受け入れ、災害後の対処をもう少し強くした方がいい」
ロバート・キャンベル(東京大学名誉教授)「日本は平地が少なく、山や川が多い。それだけ平地が常に災害に脅かされているということです。スーパー堤防を作ったからと言って全国的に解決できる話でもない。これから人口が減っていく中で、どういう風に空間を使い、災害が起きた時にどうやってスピーディに手当していくのかを柔軟に考えていかないといけない」