何回も大水害を起こす千曲川に打つ手なし?
2人が亡くなり、2人が行方不明の長野県では、千曲川の堤防がおよそ70メートルにわたり決壊し、大規模な浸水被害があった。リンゴ農園を営む米澤孝典さん(82)は「これから収穫しようってときにこの状態じゃもう...やりようがない。」と泥まみれの農園を見て肩を落とす。農機具だけで1000万円の被害が出たというが、保険には入っていない。米澤さんは「(自分も)歳も歳だからここで(りんご作りに)見切りを付けようと思って」と話した。
千曲川はたびたび氾濫し、1950年以降、5回の大水害が起きている。東京理科大学の二瓶泰雄教授は「地形的な特徴で、川幅が狭くなる狭窄部がいくつかある。川幅の狭い場所では水が流れにくくなる特徴があり、その上流に水が溜まり、決壊が起こりやすい。対策を上回る量の雨が降ってしまった」と話す。
箕輪厚介(編集者、実業家)「防災も大事ですが、想定を超えてしまうことがこれだけ頻繁に起こると、災害が起こることを受け入れ、災害後の対処をもう少し強くした方がいい」
ロバート・キャンベル(東京大学名誉教授)「日本は平地が少なく、山や川が多い。それだけ平地が常に災害に脅かされているということです。スーパー堤防を作ったからと言って全国的に解決できる話でもない。これから人口が減っていく中で、どういう風に空間を使い、災害が起きた時にどうやってスピーディに手当していくのかを柔軟に考えていかないといけない」
文
ピノコ| 似顔絵 池田マコト