産駒に引き継がれるディープインパクト伝説!獲得賞金7年連続1位、G1勝利馬37頭

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   今年7月(2019年)に死んだ名馬・ディープインパクトは日本ダービー、菊花賞を制し、G1で史上最多タイの7勝を挙げ、世界最高峰のレース「凱旋門賞」に挑んだが、優勝を逃した。引退後は生まれ故郷の北海道に戻り、種牡馬として第2の人生をスタートさせた。

   種付け料は1回4000万円にもなった。「金額は問わない」というフランスのエージェントをはじめ、世界中から種付けのオファーが殺到した。「優れた雌馬を世界中に送り続ける種牡馬は、何よりも大切だから」というアイルランド最大のサラブレッド生産者・クールモアは、ディープインパクト詣でを続けた。そして去年、ディープインパクトの息子・サクソンウォリアーが英国最高峰のレースで優勝した。欧米やオセアニアなど競馬をリードしてきた先進国が、ディープインパクトの血統を求め、子供を次々と輸入している。

強かっただけではない・・・名種牡馬としての実績も輝かしい本当の名馬

   今年7月、北海道苫小牧で400頭の仔馬の競りが行われた。平均落札価格は5000万円だが、ディープインパクトの子供は1億8000万円、1億6000万円、2億1000万円といった高額で取り引きされていく。なかでも注目されたのは、生後5か月のディープインパクトの息子。3億、4.2億・・・と見る間に値段は吊り上がり、最終的には4億7000万円で落札された。

   ディープインパクトのすべてのレースに騎乗した武豊は、「日本で生まれ、日本で走って、日本で種牡馬になって、日本競馬を変えた」と語った。ゲストの競馬ファンの作家・高橋源一郎氏も「名馬の条件には"強い"ということがありますが、それでは半分。もう一つは"名種牡馬"であること。だが、それはなかなかいないですよね。日本で生まれて、日本のトップで活躍した日本産の種牡馬はディープインパクトが初めて」と絶賛した。

   国内に1600頭の子供があり、獲得賞金7年連続1位、G1勝利馬37頭を輩出している。海外でも10か国でディープインパクトの子が子孫を増やしている。高橋氏は「欧米では常にリーディング種牡馬を探しているが、日本の種牡馬は注目されたことがありませんでした。ディープインパクトが初めて認められ、日本の競馬が初めて競馬の世界史に載ったんです」と語る。

ディープの血統が「凱旋門賞」で優勝する日

   そのディープインパクトの血を引く2頭の馬が、10月6日(2019年)に行われた第98回凱旋門賞に挑戦した。1頭はフィエールマン。今春の天皇賞を制するなどGIで2勝。調教師の横手裕二は「ディープインパクトで凱旋門賞がとれなかったのは悔しかったです。でも、世界最高峰といわれるレースを取りに行くという姿勢だけは残っている」と話す。フィエールマンは高低差36メートル(日本最大)、距離900メートル、脚に負担がかかりにくいクッション性が高い坂路コースで脚力を磨くトレーニングを続けてきた。

   凱旋門賞に挑戦したもう1頭のキセキはディープインパクトの孫だ。8月半ばから現地で調整してレースに臨んだ。

   10月6日、当日は雨。芝が水分を含んでぬかるむ厳しい条件の馬場だった。跳び出した2頭は最後の直線で力強さを失い、下位に沈んだ。

   高橋源一郎氏は凱旋門賞に挑戦することの価値について、「英国で250年前に発生した競馬を、100年前にフランスが世界チャンピオンを決めるワールドカップのようなものとして作った、芝の世界の最高レースです。1頭の不滅の名馬を作るという夢に挑戦する場所。2年後の100回目くらいに勝ってくれないかなあ。せめて生きている間にかなってほしい夢です」

NHKクローズアップ現代+(2019年10月8日放送「ディープインパクト 名声いつまでも~世界に羽ばたく産駒たち~」)

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