ディープの血統が「凱旋門賞」で優勝する日
そのディープインパクトの血を引く2頭の馬が、10月6日(2019年)に行われた第98回凱旋門賞に挑戦した。1頭はフィエールマン。今春の天皇賞を制するなどGIで2勝。調教師の横手裕二は「ディープインパクトで凱旋門賞がとれなかったのは悔しかったです。でも、世界最高峰といわれるレースを取りに行くという姿勢だけは残っている」と話す。フィエールマンは高低差36メートル(日本最大)、距離900メートル、脚に負担がかかりにくいクッション性が高い坂路コースで脚力を磨くトレーニングを続けてきた。
凱旋門賞に挑戦したもう1頭のキセキはディープインパクトの孫だ。8月半ばから現地で調整してレースに臨んだ。
10月6日、当日は雨。芝が水分を含んでぬかるむ厳しい条件の馬場だった。跳び出した2頭は最後の直線で力強さを失い、下位に沈んだ。
高橋源一郎氏は凱旋門賞に挑戦することの価値について、「英国で250年前に発生した競馬を、100年前にフランスが世界チャンピオンを決めるワールドカップのようなものとして作った、芝の世界の最高レースです。1頭の不滅の名馬を作るという夢に挑戦する場所。2年後の100回目くらいに勝ってくれないかなあ。せめて生きている間にかなってほしい夢です」
*NHKクローズアップ現代+(2019年10月8日放送「ディープインパクト 名声いつまでも~世界に羽ばたく産駒たち~」)