かつて、喜美子(川島夕空)たちの貧乏一家に居候していた風来坊、草間宗一郎(佐藤隆太)が信楽に帰ってきた。そして、父親の常治(北村一輝)の借金を立替えまでしてくれた。
草間「ご無沙汰してしまい、すみません。あれから大阪で割のいい通訳の仕事を見つけて働いていたんです。まあまあ貯金もできましたので、東京に戻ろうと思いまして。その前に挨拶に伺いました」
常治「そやけど、金は困ります。借金の一部を払うてもらうようなことは・・・」
常治はなけなしのお金をかき集めて返そうとする。「金額、1000円でしたな」くしゃくしゃの何枚かの札をのばして、「あと120円やなあ」
草間「今夜、ここに泊めてもらいますので、1泊100円の宿泊費ということでどうでしょう。残りの20円は僕の借りを返したいという気持ちで」
常治「あかん」
喜美子は、常治が草間の気持ちを受け取らないことに苛立つ。「なんで受け取らへんの」
常治「男の意地や。女にはない意地や誇りが、男にはあるんじゃあ」
「女にも、意地と誇りがあるんじゃあ」喜美子は啖呵を切った
あの日から、喜美子には「意地」という言葉が頭から離れない。来る日も来る日も「意地」について考え続ける。
そして、ある早朝、父親の常治が爪を切っていると、喜美子が紙芝居を見に行ったときの出来事を話す。「紙芝居のおっちゃんが、カネのうても、見てええでっていうて。ほな見ようと思うたけど、見んと帰ってきた」
見たかった紙芝居を必死で我慢したあの気持が意地だと気づいた喜美子は、嬉しそうにいう。「言いたい。女にも、女にもな、意地と誇りがあるんじゃあ」
あまりの喜美子の迫力に常治は驚く。母のマツは、柱の陰で話を聞いて、娘の成長に涙する。草間も話が聞こえて思わず笑みがこぼれる。(NHK総合あさ8時)