日本郵政の鈴木康雄副社長(元総務事務次官)はきのう3日(2019年10月)、かんぽ生命保険の不正販売の実態を報道したNHKを、「まるで暴力団」「バカじゃないの」などと罵り、品性を疑われている。
昨年4月(2018年)にNHK「クローズアップ現代+」は、「郵便局が保険を"押し売り"!?」というタイトルでかんぽ生命の不正販売を特集し、高齢者への不適切な営業実態を報じた。さらに、昨年8月に続編を放送するため、情報提供を呼びかけるネット動画を公開した。
これに対し、日本郵政はNHKの上田良一会長に抗議し、さらにNHKのガバナンスを検証するようNHK経営委員会に訴えた。上田会長は経営委から厳重注意を受け、日本郵政に事実上の謝罪文書を出した。NHKは動画を削除し、続編の放送も延期された。
メディア研究が専門の中央大学国際情報学部の松野良一教授は、「日本郵政には、放送法を所管する総務省のOBが結構います。そこからNHK経営委員会に要望があれば、NHK側が何か忖度した可能性もあります」と指摘する。
長門社長は「NHKの番組通り」と認めているのに
かんぽ生命の不正販売をめぐっては、日本郵政の長門正貢社長は先月、「(NHKの番組内容は)今となってはまったくその通り」「(NHKに抗議したことを)深く反省する」と語っている。ところが、野党のヒアリングに出席した鈴木副社長は、終了後に記者団に囲まれ、こうまくしたてた。
「取材を受けてくれれば動画を消すなんて、そんなこと言っているやつの話を聞けるかって。まるで暴力団と一緒でしょ、それじゃ。殴っておいてね、お前、これ以上殴ってほしくなければ、やめてやるから俺の言うこと聞けって。バカじゃないの」
司会の小倉智昭「かんぽの不祥事があったから、鈴木副社長は野党のヒアリングに呼ばれたのに、それをすっかり忘れたのかというような発言ですね。筋違いだろ、と思う方は多いでしょうね」
中瀬ゆかり(「新潮社」出版部部長)「監督官庁の事務次官だったという立場が、こういう言葉を言わせているように感じてしまいます」
若狭勝(弁護士)「NHKが圧力に負けたようにも見えてしまう点も問題です」