「大草原の少女ソラ」を見ていた十勝の柴田家では、なつ(広瀬すず)のじいちゃん泰樹(草刈正雄)が物思いにふけっていた。放送が終わると、帯広の菓子屋「雪月」に向かった。開拓時代からの付き合いの店のばあちゃん・とよ(高畑淳子)に会うためだ。
とよ「私が恋しくなったということは、いよいよお迎えが近いね。あんた」
泰樹「ばあさん、きのうのなつのテレビは見たか」
とよ「ああ、見たべさ。あんたとなっちゃんの別れを思い出したのかい」
泰樹「朝日を思い出したんじゃ。開拓の時、くじけそうになった時に何度も見た。なつはそういうものを作っとるんじゃ」
とよ「夜明けに感動したんかい。まあ、夜明けに励まされたことは何度もあったね」
「大草原の少女ソラ」のその日の話は、開拓者の家族に育てられた主人公が、育ての親に別れを告げる話だった。そして朝日が昇るシーンが映し出されたのだ。
ついに「大草原の少女ソラ」も最終回
梅雨に入る頃、「大草原の少女ソラ」は大詰めを迎えていた。しかし、制作は遅れに遅れて、放送日の前日にようやく仕上がるような状態が続いていた。ギリギリのためトラブルが多く、クレームの電話にマコプロダクションの社長の大沢麻子(貫地谷しほり)もてんてこ舞いだ。「最終回まであと少しだから、頑張っていこう。時間はないけど、もう少しよ」
ようやく「大草原の少女ソラ」の最終回が放送され、みんなで打ち上げが行われた。「すべての開拓者に乾杯」となつ。
スタッフがそれぞれの思いを打ち明ける。声優を手配していた兄の咲太郎の妻の光子が言い出す。「この作品は歴史に残るわ。アニメのひとつの道を作ったと評価されるような作品だもの。なっちゃんの覚悟がこの作品を生み出したのね」
咲太郎「これから、ますます忙しくなりそうだからな」
上京していたお母さんの富士子(松嶋菜々子)は、打ち上げの翌日に十勝に帰っていった。(NHK総合あさ8時)