神奈川県タクシー協会横浜支部は、「メガネが壊れた」と運転手に金銭を要求する「メガネクレーム男」への注意を呼び掛けている。ドライブレコーダーには、運転席を蹴り、運転手を怒鳴りつける男の映像が残っていた。
今年6月(2019年)、横浜のみなとみらいで「遠いけど、新宿までいいかな?」と言いながら乗り込んできた男は、ドアが閉まると、「アホ。最悪。メガネが壊れた」と騒ぎ始めた。そして「このメガネは27万だからさ。全部っていうのは可哀そうだから、運転手さんのできる範囲で」と、弁償を要求する。乗車運賃の割り引きでもいいと言い出し、運転手が返答をためらっていると、諦めたのか、車を止めさせて、金も払わず降りていった。
7月にも、この男は別のタクシーに乗車して、また「メガネが壊れた」とやり始める。運転手が「私の一存ではできない」と会社に電話をして、警察に届けると説明すると、男は「お前、警察に来てもらうとかじゃねえよ。まず謝れよ」と怒りはじめ、あわてて降りていった。
タクシー協会は顔写真付きで注意呼びかけ
6月以降、こうした事例が相次ぎ、神奈川県タクシー協会は男の顔写真付きで運転手に注意を呼び掛けていた。メガネクレーム男と察知した運転手が気付かないふりをして「会社に報告しないといけない」と伝えると、男は「オレが電話に出るから」と会社の担当者と話し始めた。担当者が「車内人身事故扱いになるので、警察を呼ぶ」と説明すると、クルマを止めさせ、1万円札を料金箱に投げ込んでいった。
司会の小倉智昭は「わかりやすい手口ですねえ」と呆れるが、この手口でお金を払わされた運転手もいるそうだ。若狭勝弁護士によると、メガネクレーム男は無賃乗車と運転手にお金を払わせていることで、詐欺罪に問われる可能性があるという。