「京急事故」専門家が首をかしげた2つの違和感―バックしなかったトラック、止まれなかった電車

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   横浜市で起きた京浜急行とトラックの踏切事故で、「ビビット」が取材した事故の専門家が指摘したのは、現場の「違和感」だった。交通事故鑑定人の中島博史氏は、「なんでこんなところに入ってしまうのか、という疑問を最初に感じました」と話す。

   トラックは線路沿いの幅約3メートルの道から、何度も切り返しながら右折して踏切に入った。トラックは幅2.5メートル、長さ13メートルと大型だ。運転手は以前にも千葉・横浜間を往復したことはあるが、通ったのはこの道路ではなかった。

   会社関係者は「一番危なくないルートを教えたつもりだが、どうしてそっちに行ったのか」と困惑している。別のトラックドライバーは「あの道を大きいトラックで入ろうと思う人はいない。地方から来ると、知らない人はわからないから焦りますよね」と話す。

   中島氏は「心理としては、一度進み始めてしまった道は、どうにか進めるところまで進もうとしてしまいがちです。踏切の警告が鳴り始めて、どうにか脱出しようということだけに頭がいっぱいになってしまったのではないか」とみる。

停止の「発光信号」作動しなかった?

   鉄道アナリストの川島令三氏は「(列車は)なぜ踏切の手前で止まれなかったか」と感じたという。踏切には障害物検知装置がついていた。検知すると発光信号機が作動して、運転士に伝える仕組みだ。

   「運転士が視認すれば、手前で止まっているはずなのに、結構なスピードでトラックにぶつかったということが一番の問題です」と川島氏は指摘する。京急電鉄によると、異常を知らせる信号機は踏切の600メートル手前にある。川島氏は「時速120キロで走行していても、大体450メートルあれば止まれるので、(急ブレーキをかけていれば)キッチリ手前で止まっていたはずです」という。

   衝突直前の様子について、先頭車両に乗っていた男性は「警笛が20秒ぐらい途切れずに鳴りっぱなしだったので、絶対ぶつかるんだろうなと思った。ブレーキの衝撃はほとんどなくて、そのまんまぶつかった感じがしました」と証言している。川島氏は、事故原因として、運転士が異常を知らせる信号を見落としたか、信号が作動しなかった可能性を指摘している。

   堀尾正明キャスター「私鉄によっては、踏切に障害物があれば自動的にブレーキがかかるシステムもあるようです。京急にはなかったそうですが、システム上の問題もあったかもしれません」

文   キャンディ| 似顔絵 池田マコト
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