木村文乃が特殊詐欺を捜査する警視庁捜査二課南新宿分室の刑事、今宮夏蓮警部補を演じている。刑事ドラマで気になるのはチームの顔ぶれだ。人気俳優ばかり集めればいいとうものでもなく、ベテランから新人、紅一点など、絶妙なバランスが求められ、ヒットする刑事ドラマはこの布陣がいい。
「サギデカ」はどうか。特殊詐欺捜査課を束ねる係長は遠藤憲一、「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)で存在感を示した眞島秀和、新人に清水尋也、「あまちゃん」以降、「土曜スタジオパーク」の司会も担当するなどNHKに貢献度の高い足立梨花というように、なかなか悪くない。
さらに、振り込め詐欺グループ側は高杉真宙、玉置玲央、長塚圭史と個性派揃いで2倍楽しめる。
「年寄りがカネ貯めるからオレたちに回ってこない。社会還元だ」開き直る犯人たち
第1回「名前のない男」では、何カ月も前から張り込みを続けていた振り込め詐欺グループのアジトに突入。実行犯「かけ子」を捕えるも、主犯を取り逃がしてしまう。「かけ子」は何も語らず、名前すらわからない。今宮が執念で彼の名前を割り出し、少しだけ心が通じたか、というところ。
第1回では、警察側、振り込め詐欺グループ側をテンポよく描くだけでなく、2度も大金をだまし取られ、息子に罵倒され自殺する老女(泉ピン子)も出てきて、身につまされた。
騙す方の若者は「70代以降がお金を持っていて、それを貯め込んでいるから自分たちに金が回ってこない。だから、老人たちの金を奪って社会に還元する。自分たちのやっていることは社会貢献だ」と開き直る。
騙す側、騙される側、それを捕まえる側。三方から描くことで、「振り込め詐欺」の実態を浮き彫りにする。詐欺の片棒をうっかり担いでしまいかねない若者、巧妙な手口に騙される老人、どちらにも見て欲しい。振り込め詐欺の撲滅に一役買うに違いない社会派ドラマである。
脚本は「透明なゆりかご」「きのう何食べた?」の安達奈緒子。今、もっとものっている脚本家だ。(土曜よる9時~)
くろうさぎ