昨日(2019年9月2日)、4歳の息子を殴って大怪我を負わせたとして20代母親が書類送検された。この母親は今年6月、電気コードと洗面器で息子の全身を叩いた後、自ら児童相談所に電話している。
息子は児相に保護されたが、児相が事件を大阪府警に伝えたのは事件4日後で、当初は詳細な情報提供も拒否。児相と警察の連携不足が指摘されている。鹿児島県出水市では8月28日(2019年)に、大塚璃愛来(りあら)ちゃん(4)が母親の交際相手、日渡駿容疑者(21)に暴行を受けた後、死亡する事件が起きたが、この事件でも出水市は以前から璃愛来ちゃんの体にあざがあることを把握していながら警察や児相に伝えていなかった。
しつけと虐待の線引きはどこ? 親たちの意見もまちまちだが...
今日(9月3日)は、児童虐待防止法改正のきっかけとなった船戸結愛(ゆあ)ちゃん(享年5)の虐待死事件で、母親の船戸優里被告(27)に対する初公判も開かれる。優里被告は父親の船戸雄大被告(34)とともに保護責任者遺棄致死の罪に問われている。
結愛ちゃんの元主治医である木下あゆみ医師は、「親子のケアを続けていたが、突如香川から東京へ引っ越し。事件はその2か月後で、周りに支援者がいたにもかかわらず守ってあげられなかったのは申し訳ない」と悔しさをにじませる。
倉田真由美(漫画家)「普通の犯罪は『疑わしきは罰せず』だが、虐待に関しては、疑わしいものはどんどん介入すべきです」
司会の国分太一「重症・軽症ではなく、虐待があった時点で動いてもらわないと」
虐待が起きる原因の一つに、しつけと虐待の境界線が曖昧なことも指摘されている。
子ども支援の国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」の調べでは、しつけの一環で子どもを叩いたことがある親は70%。「ビビット」では街灯インタビューで母親たちの声を聞いたが「手を出したら虐待だとすると、やったことがある」「子どもが怖がって自分の意見を言わなくなったら虐待」「子どもが危険なことをするのを防ぐために手を出すのは、しつけに入れてほしい」など意見は様々だった。
NPO法人「ステップ」理事長で、児童虐待や加害者の更生に取り組む栗原加代美さんは、「命が危ないとき、人に迷惑をかけるときに注意するのはよいが、自分の怒りで子どもを従わせようとすると支配、虐待が起きる。親の都合を押し付けないことが一つの境界」と語る。
倉田真由美(漫画家)「一回言えば聞く子、嫌だという子、子どものキャラクターによって育て方が変わってくる。だからといって叩いてはいけない。暴力は明確に線引きできる」
千原ジュニア(お笑いタレント)「小学1年くらいにおじいちゃんの家で悪さして、兄の千原せいじが木にくくられて泣き叫んでいた。はたから見ると虐待だが、せいじ本人は楽しかったと言っている。今だったら即児相」
今後の動きだが、2020年4月から改正虐待防止法が施行され、「親の体罰禁止」と「児相の介入強化」が柱となる。「児相への医師・保健士の配置義務化と弁護士サポート」「児相で保護者支援と一時保護の職員を分ける」など制度が変わる。
高橋知典さん(弁護士)「明治時代にできた民法には懲戒権があったが、時代が変わった。対応職員を分けることも注目ポイント。保護者支援と一時保護を分けることで対応しやすくなる」
栗原加代美さん「加害者ケアも重要で、国として考えていただきたい。加害者の更生プログラムに任意ではなく強制で送っていただきたい」
みっちゃん