沖縄の大学1年生の太田三砂貴さんは、小学生のときにアインシュタインの相対性理論を理解し、高校での知能検査はIQ188、5億人に1人と言われる高い数値だった。教室の黒板いっぱいに数式を書き並べて、「これが一番幸せ。美しい」と話す。
1歳後半でローマ字、3歳で漢字を書くような能力を両親も理解できず、大学進学を諦めかけた。父親は「自分から天才が生まれると思っていませんでした。だから、専門学校で技術を身につけてと思いました」と語る。三砂貴さんは「だれかわかってくれる人はいないかと、孤独感がありました」という。
IQ130以上の人たちを、「天から与えられた」という意味で「ギフテッド」と呼ぶのだそうだ。どこの国でも、人口のほぼ2%ほど、日本では約250万人がいる。「クロ現+」が彼らにアンケートしたところ、90.2%(回答数122)が何らかの「生きずらさ」を訴えた。
カナダにギフテッド留学!「充実した毎日です」
札幌市の宮田太郎くんは小学6年生だ。入学前から掛け算や分数を理解していた。母親の邦子さんは「興味を持つことが他の子どもさんと違うので、育てにくい」という。医学や生物が大好きだが、本を読んでいると友だちが閉じてしまう。先生も「彼は宇宙人で理解できない」と言い放った。
「落ちこぼれ」ならぬ、「浮きこぼれ」というのだそうだ。アンケートでは、「人間関係のストレスで体調を崩した」「はみ出しもののレッテルを貼られた」「9年間不登校だった」というものもあった。
小学6年生の檜垣大峯くんも浮きこぼれだ。課題を終えて、「次を」と言っても、先生は「みんなが終わってから」と応じてくれない。小学1年生のときから不登校になった。学校の代わりに水族館に行った。そこで、アメリカ、カナダには「ギフテッド」教育があることを知り、両親を説得して5年生からカナダに留学した。
公立小学校に通いながら、大学の生物学の授業に出ている。「こんなにいい環境があるんだ、教育システムがあるんだと、充実した毎日を過ごしていると実感しています」と、まるで大人の口調だ。
ギフテッド教育専門家の川崎由起子さんは、アメリカのシリコンバレーの「ギフテッド」教室の先生だった。「IQ135以上の子ばかりのクラス。ずば抜けた才能・集中力をもつ一方で、すべてがAというわけでもない。このスクールに行かなければ、他の子供と一緒にされてしまう子ども達でした。心のサポートが必要だったんです」
教え子の1人がPCで語った。アマン・クマールさん(32)はフェイスブックのシステム部門の幹部だ。「川崎先生は、自分だけのスーパーパワーを見つけようと言いました。これがダメでもこれでOKという風に。(日本のギフテッドにも)君は1人じゃない。どこにでもギフテッドはいる。社会との繋がりが大事。接点はなんでもいい。受け入れてくれる居場所を見つければいいんだよと言いたい」と話した。