スマホの「キャリア決済」を悪用した詐欺が急増している。キャリア決済は、インターネットなどで買い物した代金を、月々の通信料金に上乗せして支払いができるサービスだが、NTTドコモを騙ってIDとパスワードを盗み、高額な買い物をされる被害が広がっているのだ。
外資系製薬会社勤務の山口真紀さん(41)は今年5月(2019年)、スマホに「お客様のdアカウントに異常ログインの可能性がございます。下記URLで検証お願いします」というショートメッセージが届いた。ドコモからと同じ受信画面に入っていたためアクセスしたところ、IDやパスワードを入力する画面が現れた。疑いもせず入力するとエラー画面が表示されたが、電波が悪いのかと思ってそのままにしておいた。
すると2日後、ドコモから「ご利用金額が大変高額になっています」と警告のメッセージが届き、身に覚えのないインターネット通販サイトで62821円の買い物をしたことになっていた。
山口さんはすぐにドコモに相談したが、「『(こちらは)注意喚起を行っています。それなのにあなたはログインしたんですよね?』というロジック(論理)だった」と話す。ドコモによると、キャリア決済の規約上は、不正利用があっても会社側に過失などがなければ利用者が支払うことになるという。
犯罪グループが狙っている「10月消費税引き上げ」
山口さんは警察に被害届を出したが、「民事なので弁護士をたてて民事裁判でやってください」とその後に連絡はない。山口さんは「途方に暮れるというか、被害者なのに、私が悪かったのかなという気持ちになります」と話している。
ネット詐欺などの対策に取り組むフィッシング対策協議会によると、ドコモなど大手携帯3社を装ったフィッシングサイトの報告件数は、先月(2019年7月)は226件あり、前の月から4.6倍に増加している。
偽のショートメールを送った人物は、URLをクリックさせることで偽サイトへと誘導し、入手したIDとパスワードを使って高額な商品を購入、転売して利益を得ているとみられる。
ITジャーナリストの三上洋氏は「キャリア決済は簡単で使いやすい仕組みですが、犯人からすれば不正利用しやすいターゲットだったということです。今年10月に消費税が上がるのを機に、キャッシュレス決済やコード決済の推進事業が行われているタイミングを狙って、犯罪グループが集中的に攻撃してくるかもしれません」と注意を呼びかけている。
菊間千乃(弁護士)「被害者の女性の怒りはもっともだと思いますね」
堀尾正明キャスター「偽物のメッセージが本物のメッセージの間に入ってこないようなシステムを、通信会社に対策してほしいですね」