わずか1か月の間に2度も「ボリビアで三つ子を出産した」と虚偽の申請をし、多額の出産育児一時金をだましとったとして神奈川、千葉両県警は22日(2019年8月)、ボリビア国籍のイシイ・コシオ・マリオ容疑者(51)を詐欺容疑などで逮捕した。警察によると同じ手口の犯行が中部地方や関西地方など広い範囲で約40件確認されており、だまし取った税金の総額は2000万円以上におよぶと見られている。
マリオ容疑は2017年5月、ボリビア国籍の女、パンドゥロ・ペレス・マジェルリ容疑者(36)と共謀。「ボリビアで3つ子を出産した」という虚偽の申請書類を千葉市に提出、121万円をだまし取った疑いがもたれている。さらに1か月後、群馬県太田市でも2016年に三つ子を出産したと偽り、一時金をだまし取ろうとした。
「2年間で6人も産める?」太田市職員が気付き発覚
マリオ容疑者が目を付けた出産育児一時金とは、子ども1人当たり原則42万円が支給される制度で、海外で出産した場合も受け取れる。日本に住む外国人でも、公的医療保険に加入していれば支給対象になる。
日本で出産をする場合は、加入している健康保険から病院に直接支払いがされ、出産した人はその差額を受け取ることになるが、海外で出産した場合は出産した人が全額病院に支払いを行い、加入している健康保険に申請をしてから1人当たり42万円の支給を受け取る形になる。マリオ容疑者はこれを悪用したわけだ。
今回発覚したのは、太田市の職員がマジェルリ容疑者の渡航歴を確認し、妊娠後期にボリビアに渡航したことに違和感を持ったことがきっかけだった。調べて見ると2017年にも三つ子を出産したと千葉で申請していることに気付き、「さすがに2年連続で3つ子を出産するのは不自然」と不正が発覚した。
20年以上日本に住んでいるというマリオ容疑者は、共謀相手を変えながら何度も同じ手口を繰り返していたようだ。
在日ボリビア人のボス的な存在で、日本に住むラテン系の人々から恐れられていたという。悪事はこれだけではない。「不法滞在の手伝いをし、高額な金銭を要求していた」「入国やビザの手続きを手伝うふりをして法外の手数料を取っていた」「お金が払えない不法滞在者を入国管理局に通報していた」などの声が上がっている。
伊藤利尋アナ「ボリビアで産むと約1万5000円から8万円かかるそうです。かなり金額の差はあるのに、一時金は日本基準で一律42万円になっていると...」
司会の小倉智昭「これを悪用して三つ子にしちゃったってことだね」
古市憲寿(社会学者)「全世界の出産費用を調べたうえで、生まれた病院に必ず確認するというのは難しい。役所の手間も増えてその分費用も増えますから」