出産から6週間後、なつ(広瀬すず)の産休が明けた。職場に復帰する日、「優、それじゃママ、行くからね」と娘に声をかけた。娘の名前は優だ。母親の姿が見えなくなると、優は泣き出した。玄関の前には、その泣き声を聞きながら、歯を食いしばって涙をこらえるなつの姿があった。
職場に着くと、仲努(井浦新)から新しい作品の作画監督ではなく、出産前と同じ「魔法使いアニー」の原画アニメーターとして復帰するように言われる。なつは不本意だが、仕事に集中しようとしても、どうしても優のことを考えてしまい、落ち着かない。
自宅では、夫の坂場一久(中川大志)が、翻訳の仕事をしながら優の面倒を見ている。坂場もまたアニメーションのことで気になることがあるようだ。なつは仕事が終わると一目散に家に帰り、優をぎゅうっと抱きしめた。
子育てと仕事の両立・・・難しくしているのは自分自身だった
作画監督になると張り切っていたなつは、「古巣に戻されたのは、子どもを産んで評価が下がったせいかもしれない」と気にしている。その気持ちを坂場に打ち明けると、坂場は「会社の配慮だよ」と返した。
「その調子だと、君だって、毎日残業が続く仕事になったら、神経が持たないんじゃない?」
なつは自分の仕事ぶりを思い出し、「そうかもしれない。生まれてからやっと気づいた。一番の敵は、子どものことが気になってしょうがない自分自身なんだって」と話す。
あっという間に1年近くがたち、優を預けなければならない日が近づいてきた。昭和44年春、福祉事業所から通知が届く。その中身を見て、なつは愕然とした。申し込んだ保育園すべてに落ちていたのだ。優を抱き、なつは途方にくれる。そんなとき、作画監督の機会がまた巡ってくる。(NHK総合あさ8時放送)