北米大陸の五大湖の1つ、ミシガン湖の畔に広がるシカゴは、ニューヨーク、ロサンゼルスに次ぐアメリカ第3の大都市。黒人をはじめとする有色人種の比率が高いのも特徴の1つだ。
そんなシカゴにある総合病院シカゴ医療センター(シカゴ・メッド)の救急外来の医師や看護師たちの活躍を描いたNBCテレビ制作の医療ドラマだ。
シカゴの消防士が登場する「シカゴ・ファイア」、警察官が登場する「シカゴP.D.」に続くNBCテレビの「シカゴ」シリーズ第3弾でもある。
第1シーズン(全18話)はNBCネットワークで2015年11月~16年5月に放送され、今年9月からはシーズン5の放送が予定されている。
日本でも17年4月からシーズン1がNHK・BSプレミアムで放送され、今月16日から待望のシーズン2(全23話)の放送がスタートした。
エイズ、薬物依存、宗教・移民、LGBTや尊厳死も丁寧に描かれる
デパートを経営する大富豪の息子で胸部外科の特別研修を始めた研修医コナー・ローズ(コリン・ドネル)、研修医から医局員に昇格したばかりのウィル・ハルステッド(ニック・ゲルファス)、軍人の夫をアフガニスタンで亡くしたシングルマザーの小児科医ナタリー・マニング(トーリー・デヴィ―ト)の3人を中心に、次々と運び込まれる急病人や怪我人の救命にあたる。
見どころの1つは、超リアルの手術シーン。妊婦の腹をメスで切り開いて胎児を取り出す帝王切開や、腫れ上がった目蓋をハサミで切開するシーンなど、本物かと思わせる映像が毎回登場する。そうした1分1秒を争う救命治療シーンのスピーディーな展開と、登場人物それぞれが抱える悩みや夢をじっくりと描き込むスローな展開のメリハリが見事で、観る者を飽きさせない。
さらに、ナタリーに密かに思いを寄せるウィルの前に割って入ってきたナタリーの旧友で医学生ジェフ・クラーク、コナーを厳しく指導する胸部外科医イシドール・レイサムなどの人間関係も絡んできて、ストーリーに深みを与えている。
日本でも大人気を博した「ER緊急救命室」(これもシカゴの病院が舞台だった!)から20数年が経過しているだけに、実際の救命医療の技術は進化している。だが、エイズの蔓延や薬物依存の低年齢化、宗教や移民をめぐる対立の激化、LGBTや尊厳死など、一層複雑化した現実も丁寧に描かれている。そうした問題に直面したときに、どう対処すべきかを考えさせられるドラマでもある。(金曜夜11時45分~)
寒山