こういうの好きだなあ、と思わずつぶやいてしまった。山田涼介主演。ジャニーズドラマかという先入観を持ちつつ見たが、始まってすぐ、そんなものはなくなり、ドラマの世界に引き込まれた。こういう大人のおとぎばなし、好きだなあ。やはり、岡田惠和脚本は外さない。
山田涼介演じるセミオは7日間しか地上で生きられないセミ。アパートの前の地中で6年間過ごし、住人たちの声を聞いていたという設定である。ある時、木南晴夏演じる大川由香(おかゆ)にその命を助けられ、人間の男性に変身した。「あなたの望みを叶えるから、7日間、一緒にいて良いですか」と、アラサーのおかゆの元にやってくる。
生きることが苦手なアラサー女子となんでもする変身男
ヤンキーの両親(高杉亘&田中美奈子)に育てられ、兄(三宅健)も伝説のツッパリで、窃盗事件を起こして妹に通報され、警察に捕まる。田舎に居づらくなったおかゆは東京に出ることにした。「おかゆ」というのは自ら考えたあだ名だ。小学生時代、クラスでみんなのニックネームをつけようということになり、密かに楽しみにしていたが、いざ、自分の番になると、「大川さん?」「そんな人いたっけ」と散々だった。その時、自分で考えたのが「おおかわゆか」の一部をとって、「おかゆ」だった。
時々、幼少期からのせつない話が再現されるのがパターンのようで、第2話では、誕生日会を開こうと、友達を招待したからと母に頼んだのに、結局、何もしてもらえず、自分で飾りつけをして、ケーキや料理も自分で作ったが、誰ひとり来てくれなかった。
コミュニケーション下手で、生きることが苦手なおかゆが、セミオの出現で明るくお喋りになる。そんな心の変化を、木南が巧く演じる。なんでもするというセミオに、「生きてていいんだよって言って、そっと抱きしめてください」とおねだりもするようになった。そして、抱きしめられるシーンに涙が出た。7日間という限りある時間、おかゆとセミオの行方が気になる。