主人公のオオバカナコ(玉城ティナ)は、人を信じることのできない孤独な少女だ。日給30万円という怪しげな高額バイトに目がくらみ、謎の組織に殺されかける。「料理ができる」と命乞いすると、殺し屋専用ダイナー(食堂)に売られてしまった。
元凄腕の殺し屋ボンベロ(藤原竜也)が仕切るダイナーには、一癖も二癖もある殺し屋がやってくる。お人形のように可愛らしく、ウェイトレス姿も似合うあどけないオオバカナコは、周囲に流されるばかりでイライラするが、そうしているうちに生きる目標を見出し、やがて自信を取り戻していく。
ボンベロのパートナーとなり、しっかりと料理もこなすようになる。
主役級を次々と美しく死なせる贅沢さ
この映画の一番の魅力は、個性豊かな俳優陣の競演と、彼らの演技だろう。小栗旬や土屋アンナなど主役級の俳優を脇に回し、いとも簡単に美しく死なせてしまうのは、蜷川実花監督ならでは。
とくにボンベロと真矢ミキ演じる無礼図の存在感は凄まじい。クライマックスの二人のバトルは大音量の音楽、そして真っ赤な薔薇の花びらをこれでもかと使い、蜷川ワールド全開である。
ただ、見どころである殺し屋たちが繰り広げるアクションシーンが、映像美をにこだわり過ぎて、逆に画面がちゃがちゃして見づらくなってしまっているのが残念だ。
蜷川監督の映画は「さくらん」「ヘルタースケルター」とお世辞にも良い作品とは言えなかったが、「ダイナー」は俳優陣に助けられて、全体的には、まあ楽しめる映画に仕上がっている。
成長したカナコとボンベロの淡い恋の行方も、物語では重要な見どころのひとつだ。
PEKO
おススメ度☆☆☆