<新聞記者>
大学設立の裏で動く利権、政治家の暗躍・・・加計学園疑惑モチーフに日本映画には珍しい政治告発もの

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(C)2019『新聞記者』フィルムパートナーズ
(C)2019『新聞記者』フィルムパートナーズ

   東都新聞の記者の吉岡エリカ(シム・ウンギョン)に、医療系大学の設立計画に関する極秘情報が届いた。「政権がひっくり返るかもしれない」と意気込むデスクから、情報の確認と真相究明を指示された。

   その頃、内閣情報調査室の杉原(松坂桃李)は、現政権に打撃を与えるようなニュースをコントロールする仕事を命じられ葛藤していた。「国民に尽くす」という信条が揺らいできたとき、尊敬する元上司の神崎(高橋和也)がビルから飛び降りて自殺してしまう。神崎は内調にマークされていた。

   真相に迫ろうともがく新聞記者、国民に尽くそうと葛藤するエリート官僚の人生が交差したとき、ある事実が明らかになる。

安倍政権が目の仇にする東京新聞記者の著書を原案

   東京新聞記者の望月衣塑子の著書を原案に、政権批判に繋がる政治の問題を扱う日本映画は、最近では少なかった。加計学園疑惑をモチーフにしているわけだが、微妙な問題に挑戦しながらも、きちんとしたエンタメ作品に仕上げている点がすばらしい。

   政治という大きなものを難しい言葉と共に描くのではなく、その中で翻弄される人間の視点で描いたのが大きい。それも、新聞記者と官僚という、本来、対立する立場にいるはずの二人が、大切な人の死に直面して共闘するというサスペンスには、ハラハラドキドキさせられ、エンタメの醍醐味を感じた。

   監督の藤井道人は32歳の新鋭。この映画のオファーが来るまで新聞を読んだことがなかったという。「なぜ新聞を読まなかったのか。なぜ政治が嫌いだったのか」と自分自身を掘り下げるようにこの映画に挑んだ。

   しかし、この映画のラストは、決してスカッとするものではない。ある意味、ここからだ!というところで終わってしまう。それは今まさに起こっている出来事を描いているからに他ならない。これから現実に起こることの余白を残したラストに何を感じ、どう動くか、まさに観客が問われている。

シャーク野崎

おススメ度☆☆☆☆

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