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野村證券元社員の詐欺事件に現役社員も関与?ノルマ厳しくまだまだ出てきそうな不祥事

   テスラの自動運転車「モデルX」が日本で死亡事故を起こしていた。私は週刊新潮を読むまで知らなかった。昨年(2018年)の4月29日、東名高速・海老名サービスエリアあたりで起きた。ツーリングをしていた4人が、前を走っていたクルマが急ブレーキをかけたため、バイクがその後部に突っ込んでしまった。そこに「モデルX」がノーブレーキで飛び込み、バイクを跳ね飛ばし、それが頭の上に落下して44歳の男性が亡くなってしまった。

   しかも、それを運転していた男は居眠りしていたのだ。週刊新潮によれば、日本ではレベル2の自動運転車しか走れないそうだ。安全運転にかかわる対応主体は運転者で、法的責任も同じである。自動運転車とは名ばかりだが、事故を起こした男は、システムの故障だから、自分に責任はないといい出したそうだ。夫を亡くした妻でなくとも、そんなバカなである。

   テスラ側は、週刊新潮に対して回答なし。被害者の妻は「夫の死を無駄にしないためにも、自動運転の可能性だけでなく、危険性や補償の問題についても改めて考えてもらいたい」と語っている。私は、完全な自動運転車など遠い先のことだと思っているが、今われわれが真剣に考えなければならない重大な問題である。

   同じ週刊新潮が、野村證券の元社員が起こした詐欺事件には、現役の社員も多く関わっていると告発している。野村證券は7月2日、「当社の元社員の中村成治が、当社退職後に、お客様を含む複数の投資家に接触して、架空の投資商品を提案していることが判明した」というニュースリリースを出した。

   週刊新潮には、中村に退職金を含めて7300万円を騙し取られた千葉県の50代、元会社員の話などが出ているが、中村を紹介したのは、現役の野村の社員だったのだ。他にも騙された人がいるが、やはり野村の社員が仲介している。

   野村は「ノルマ証券」といわれるぐらい厳しいノルマを課すことで有名だ。そのために、社員たちはうまい話にすぐ飛びつく。今年になってからも、詐欺や窃盗、大麻所持、女性を泥酔させて暴行など、とんでもない不祥事が続いている。

   3月期決算は10年ぶりの最終赤字になった。トップの意識改革をしないと、まだまだ社員たちの不祥事は続くに違いない。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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