「自分と同じ名門中学に入れたかった」長男刺殺の父親、刃物で脅し続けて勉強させる「教育虐待」の悲劇

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   名古屋市北区で2016年8月、「中学受験」をめぐり父親が長男を刺殺した事件の裁判で、真相が徐々に明らかになってきた。元トラック運転手の佐竹憲吾被告(51)は、8日(2019年7月)の裁判で、事件当日、刃物を持ち出した理由について、受験勉強を促すためだったと説明した。刃物で脅すことで、効率のよい指導ができると思っていたというのだ。

   自らが愛知県トップの名門私立・東海中学に通っていた佐竹被告は、息子の崚太君(当時12)が母校に合格することを強く望んでいた。小学校3年生の時、崚太君が塾に通い出してから、佐竹被告の受験への執着はどんどんエスカレートしていった。

カッターからペティナイフ、包丁と凶器がエスカレート

   佐竹被告が刃物を使って崚太君を脅すようになったのは、崚太君が小学校4年生の時。「カッターナイフで短くなった鉛筆を削りながら注意したら、崚太がびくっとしたので、これが怖いんだなと思った」と佐竹被告。最初はカッターナイフ、次にペティナイフと、使う刃物も変わっていった。

   事件1か月前、佐竹被告はホームセンターで包丁を購入する。家の包丁は先端が丸くなっていたので脅しの効果が薄れると思ったからだ。事件1週間前には、崚太君は父親に包丁で脅されるストレスで、髪の毛の一部がなくなっていた。

   行き過ぎた教育熱心さが虐待につながる「教育虐待」を長年取材してきた教育ジャーナリストのおおたとしまささんはこう指摘する。

   「中学受験期間中に、抜毛症といって、髪の毛を抜くのが止められなくなる症状が出た子どももいます。親の支配下で勉強させると、子どもはストレスを抱えることになり、問題行動、非行、、摂食障害などの形で後々出てくる。最悪の場合、自ら命を絶ってしまうこともあります」

   教育評論家の尾木直樹さんは、「親は良かれと思って、子どもの幸せのためにやっているわけだから難しい。でも、やっぱり『人権意識』が大事だと思います。教育改革で、来年から学校教育がガラッと変わります。『教える』から『子どもが学ぶのを支援していく』方向に切り変わるのです。入試の問題も変わってきています。このお父さん(佐竹被告)みたいな教え方をしても受からない。そこをもっと親が勉強してほしい」と話す。

   堀尾正明(フリーアナウンサー)「自分が果たせなかった夢を子どもに託すというのが根本的な間違い。子どもは親とは違う人格だということをどれだけ意識できるかです」

文   ピノコ| 似顔絵 池田マコト
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