窃盗などの罪で実刑判決が確定した無職小林誠容疑者(43)が収容に応じず逃走した事件で、神奈川県警は23日(2019年6月)朝、横須賀市内のアパートにいた小林容疑者の身柄を確保、横浜地検が公務執行妨害容疑で逮捕した。逃走5日目だった。また神奈川県警は、小林容疑者をかくまったとして、知人で同アパートに住む自称建築業幸地大輔容疑者(38)を犯人蔵匿罪で逮捕した。
決め手になったのは、1本の間違い電話だった。小林容疑者は知人男性に電話したものの、別人の名前を呼びかけたというのだ。間違い電話を受けた知人男性が県警に連絡し、使用された携帯電話が幸地容疑者のものであることが判明した。
「一番の問題は、いとも簡単に保釈を認めた裁判官の判断」
小林容疑者は、逃走中にあちこちの公衆電話からも複数の知人らに電話をしていたようだ。ビビットは、潜伏先近くの公衆電話の上から、電話番号の書かれた2枚のメモを発見していた。実際に電話をしてみると、1つは小林容疑者の知人の携帯で、もう1つは横須賀市内にある風俗店の固定電話だった。
それにしても、メモを置き忘れたり間違い電話をしたり......。よほど焦っていたのか、普通の状態ではなかったのか、ドジが目立つ。
逃走の目的について、元検事の若狭勝弁護士は覚せい剤使用を隠そうとした可能性を指摘する。「尿から覚せい剤反応が出るのは、3日から5日ほど。少なくともその間は捕まりたくなかったのでは」
また、21日には小林容疑者自らが神奈川県警に電話。「あす(22日)午後に出頭する」と言ったが、結局姿を現すことはなかった。その意図について若狭弁護士は「出頭するという連絡があることで、捜査が緩むこともありうる。かく乱する目的があったのかもしれない」と話す。
若狭弁護士は裁判官の判断を疑問視する。「1審で実刑判決を受けた人を保釈するのは異例中の異例。一番の問題は、いとも簡単に保釈を認めた裁判官の判断だと思います。保釈すべきではなかった」
さて、拘留中・服役中の逃走は刑罰があるが、収容前・保釈中の逃走は、保釈金は没収されるものの刑罰はない。小林容疑者の今回の逮捕容疑は「公務執行妨害」だが、「刃物は振りかざしていない」など、一部容疑を否認しているという。
司会の国分太一「小林容疑者はすり抜ける術を知っているように思われます」
若狭弁護士「一般論で言うと、前科何犯とかすでに処罰されている被告人や容疑者は、捜査の動きをよく知っています。何を言えば罪に問われないか、知り尽くしている可能性はあります」