20日(2019年6月)朝、東京・原宿の明治通りで時ならぬ騒動があった。路上に小さな紙切れが散乱し、それを求めて人が殺到する。紙を奪い合う者もいる。怒号が飛び交い、意味不明の叫び声もあがった。
これ、アディダス・スニーカーの新商品の発売イベントだった。「イージー」というスニーカーで、グラミー賞歌手のカニエ・ウエストとコラボした数限定という商品で、「キラキラ光る素材」「かわいい」と人気となっている。
抽選で当たった人は自分の望むサイズを購入できる決まりで、午前4時、5時から抽選券を求めて約3000人が詰めかけた。午前8時に抽選が始まると、客は店員が持っていた抽選用紙の入った段ボール箱に手を突っ込み、用紙をつかみだした。あたりに用紙が散乱し、今度はそれを大勢が拾う。ついには箱を奪っていく者もいて、大混乱だ。
販売数限定で過去にはケガ人も
アディダスはあわてて午前10時過ぎに、「不正と暴力行為のため安全に配慮し、終日営業を見合わせる」と告げた。長時間待った挙句の中止に罵声が飛び、抽選に当たったのに中止と聞いて落胆する女性もいた。納得できない客はなかなか立ち去ろうとしない。列に並んでいた女性は、「前回もこういうことがありました。けがをしたり、血を流したりとかもあったし」という。
取材した森本さやかアナは、「数は限定で、それが何足なのかは非公表なんですね。どうしても欲しいという人もいれば、転売目的もあるようです」と報告する。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト