拳銃強奪前と後では「まるで別人」 思考能力を一気に失った容疑者のメンタル変化の謎

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   大阪府吹田市の交番で巡査が刺されて拳銃が奪われた事件で、強盗殺人未遂容疑で逮捕された容疑者(33)=東京都品川区=の犯行前後の行動が明らかになってきた。拳銃を奪うまでの緻密さと、その後の行動のずさんさの落差が激しく、「犯行前と後とでは別人のようだ」と専門家も言う。

   まず犯行場所だが、容疑者は土地鑑のある場所を選んだ。事件を起こした千里山交番は、高校まで吹田市内の学校に通っていた容疑者が住んでいた家の近所。高校の同級生は「僕ら自転車で通学しとったけど、全部がその圏内の話だった」と明かす。

犯行に利用するため元同級生にSNSで連絡

   計画は事件の数日前にはすでにあった。容疑者はアルバイトしていた東京都内のゴルフ関連施設を、今月(2019年6月)12日から体調不良を理由に欠勤。その前後、SNSで中学の同級生ら50人ほどに「だいぶ気の早い話なのですが、年賀状を送りたいので住所を教えてください」と連絡を取っていた。

   臨床心理士の矢幡洋さんは容疑者の人物像について「自分の方はウソの住所を教えておいて、相手から本当の住所を聞き出そうとする。社会に対しては不誠実でも構わないという、社会に対する不信がちらほら見えます」と話す。

   実際、犯行直前にかけたウソの110番通報の名前と住所は中学の同級生のものだった。この通報を機に交番にいた3人の警官のうち2人が現場に向かい、残った古瀬鈴之佑巡査(26)が襲われた。「朝方の時間帯であれば警官が動くだろうと知っていた。緻密に計画してやった」と元兵庫県警の飛松五男さんは話す。

   古瀬巡査は、左胸の傷が最も深いが、これは防刃ベストの隙間から包丁で刺したもの。まるでベストの構造を知っていたかのような襲い方にも計画性を感じざるを得ない。

   しかし、拳銃を奪った後の容疑者の行動はガラリと変わる。血の付いた手のままショッピングモールで買い物をし、発見された箕面市の山近くのコンビニに何度も出入りする姿も防犯カメラに映っている。

   これについて、矢幡さんはメンタル面の変化を指摘する。「非常にクリアな心理状態でまとまりを持って思考できる時もあったが、犯行後は一気に混乱状態に陥りました。防犯カメラがある場所に行ったらどうなるかということをチェックすることもできなくなってしまい、穴のある行動をとっています」

文   ピノコ| 似顔絵 池田マコト
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