1人の男性を私服警官らしい男女10人近くが取り囲んで歩く異様な光景が、13日(2019年6月)から札幌で続いている。SNSに「無差別殺人の予告者が刑務所から出所」との情報が拡散したためだ。この男性は「出所したら暴れてやる、殴ってやる」と語ったが無差別殺人とは言っていないという。
騒ぎにきっかけは、13日に「刑務官をしている姉から聞いた」として書きこまれた1件のツイート。「苗穂イオンで無差別殺人してやるといっている」と注意を呼びかけていた。イオンモール札幌苗穂店は刑務所から直線で300メートルにある。
男が警官に囲まれて歩く動画が拡散されて...
その日のうちに「無差別殺人の件、ガチみたい」、翌14日には「無差別殺人予告して出所した人、今、江別にいる」と、あやふやな情報が拡散した。
周辺住民からは「ばっちり鍵をかけて家から出ないようにしました」「不安ですよ。いやだなと思ったって、警察は捕まえられない」といった声があがった。警察が監視を開始した模様で、赤いシャツの男性がイオンモールの近くを10人に囲まれて歩く動画も撮影された。13日夜にもイオンから1~2キロ地点で10人が男性を取り囲んで歩いていた。「普通の(制服)警察官と私服警官が10人から20人ぐらいいて、なにか言っているのを見た」という人もいる。
男性は公園で野宿して一夜を過ごし、翌朝には立ち去ったが、今度は「いま遭遇した」と車内から撮った動画が流れた。ここでは取り囲む私服警官は5人だった。
近藤春菜(お笑いタレント)「異様な光景ですね。情報が広がってしまっている。これ、今後どうするんだろう」
ロバート・キャンベル(日本文学研究者)「刑務所から漏れてはいけない情報がなぜ出所前から漏れたのか。それを言いっぱなしにさせておく警察の判断もどうかと思う。人権を考えるべきです」
高橋真麻(フリーアナウンサー)「だけど、何かあってからでは遅い。それぐらいやってくれないと安心できない」
前田裕二(動画配信サービス代表)「誇張された情報を引算する癖をつけないといけない。発信者は正義感から誇張したのだろうが、だから拡散オーケーだとはいえません」 司会の加藤浩次「何もしていない人の情報が拡散され、周りが不安になり、警察が動く。考えさせられます」