若者を中心に、片方の眼の視線が内側に寄ったまま戻らなくなる後天性「内斜視」が増えている。先週(2019年6月)静岡県浜松市で開かれた学会では、その原因にスマホの長時間使用があると指摘する研究結果が発表された。
日本弱視斜視学会などが全国の眼科医369人を対象にしたアンケート調査では、2018年の1年間に「内斜視の若者を診察した」という回答は42%。このうち「スマホなどの使用が関連していると思われる症例」は77%にも上った。
自転車に乗ると対向車が二重に見える
斜視とは眼球がずれることで、両目の視線が合わなくなる病気。スマホを見る時に、距離が近すぎると、寄り目になり、内側の筋肉「内直筋」が縮んだまま戻りにくくなってしまう。目で文字を追う本と違い、スマホの場合は画面が動くので、眼球が動きづらいことが問題のようだ。子どもは、ピントを合わせる機能が大人よりも何倍も高いのでより注意が必要だ。
日本弱視斜視学会理事長で浜松医科大学の佐藤美保教授は「スマホと目を30センチは離す必要がある」と話す。しかし、実際に街で調査すると、距離が20センチ以下の若者が続出。「小さくて見えづらい」「離して見ると周りの人に画面を見られてしまう」というのがその理由のようだ。
2年前に内斜視と診断された男子高生は、1日5~7時間もスマホゲームをしていた。目に違和感を覚えはじめ、教室の時計や先生の板書が二重に見えるようになり、片目で授業を受けるようになった。自転車に乗ると対向車が二重に見えたというから恐ろしい。
文
ピノコ| 似顔絵 池田マコト