なつ(広瀬すず)と兄の咲太郎(岡田将生)は、12年前に生き別れになった妹の千遥がいるはずの住所を訪ねる。そこには1軒の木造のアパートが建っていて、そこから不意に若い女性が出てきた。
なつは息を飲んで見つめる。「千遥?」と話しかけると、女性は一瞬びっくりした顔をしたが、なつと咲太郎を部屋に通した。そこにいたのは2人の叔父で、驚くべき話を始めた。
敗戦後の生活苦から身売り
千遥はなつや咲太郎と別々になったあと叔父に預けられたが、敗戦直後の生活は苦しく、叔父は仕方なく千遥を身売りしたというのである。今となっては、どこで何をしているのかわからないという。
なつは言葉を失い、部屋を飛び出した。茫然とする。「千遥・・・」。まがりなりにも幸せな暮らしをしていた自分と違って、千遥はどれだけつらい思いをしていたのか。自分だけが、北海道の柴田牧場で、じいちゃん(草刈正雄)たちのあたたかい家族と一緒に過ごしていたのではないか。涙がとまらない。
咲太郎もなつと同じ気持ちだった。叔父の話にはらわたが煮えくりかえり、なぜ千遥を守ることができなかったのか、千遥を見捨てたのかと、いまにもとびかかりそうな自分を抑えて、じっと唇を噛んでいた。(NHK総合あさ8時)