東洋動画で制作していた「白蛇姫」の作画がようやく完成した。昭和32年(1957年)のことだ。初めて携わったアニメーション制作作業を終えたなつ(広瀬すず)は、疲れも忘れ満足だった。なつが跳ねるようにして「風車」に帰ると、2人の客が待っていた。
「照男にいちゃん(清原翔)、砂良さん(北乃きい)、結婚おめでとう」
結婚式を挙げたばかりの二人が、新婚旅行で十勝から東京にやってきたのだ。
照男「いいんだ。俺らから会いに行くって言ってたし、畑で忙しくなる前に急いで結婚式をしたからな。善は急げってことだ」
なつ「(砂良さんに)逃げられるのが怖かっただけでしょ」
照男「それもあるけどって・・・、うるさい」
きょうだいらしい会話が続く。
「風車」の女将の亜矢美(山口智子)は3人のために店を閉め、なつは柴田牧場のことや、北海道大学へ行った夕見子のこと、結婚式のことをじっくりと聞くことができた。砂良が思いついたように、「それは、そうと、お土産、お土産」と照男を突っつく。
照男は、じいちゃんの泰樹(草刈正雄)から渡されたものをなつに渡す。泰樹と照男と砂良の3人で作ったバターだった。なつは目をつぶって、匂いをかぐ。北海道の懐かしい匂いがした。
「つらい時は甘えにこい。遠慮はするんでねえぞ」やっぱりお兄ちゃんは優しい
天陽(吉沢亮)からの「じゃがいも」も照男から受け取る。
亜矢美が「天陽君って誰?」
「なっちゃんの恋人」と答える砂良。「そんなんじゃないです」と真っ赤になるなつ。砂良は、父の弥市郎(中原丈雄)から預かってきた小ぶりの彫刻を出す。「出た! 木彫り熊」
ガラリと戸が開いて、兄の咲太郎(岡田将生)が入ってきた。照男と咲太郎、なつの兄たちは照れ臭そうに挨拶を交わした。なつは照男と砂良を部屋に案内した。動画用紙が山のようになっているのを見て、照男が「頑張っているな」。
新婚の二人はしばらく東京を楽しんでいたが、照男がこんなことを言い残して帰っていった。「向こうじゃずっと待っているからな。つらい時は甘えにこい。遠慮はするんでねえぞ」
なつは北海道の家族を懐かしく思いながら月を見上げる。「じいちゃんも、この月を見てるだろうか」(NHK総合あさ8時放送)