翌朝もなつ(広瀬すず)の服のコーディネートは亜矢美(山口智子)がした。なつは、昨日以上に派手な色と柄の服で会社へと向かう。
昼休み、なつが噴水の側でパンを食べていると、下山克己(川島明)がスケッチしているのを見つけ隣に座った。下山は、周囲の人の似顔絵を片っ端から描いている。
なつ「すごい。面白い」
下山「これくらい、誰でも描けるよ」
下山は、手を止めずにパンをかじっているなつを描きはじめる。大沢麻子(貫地谷しほり)のことが気になっていたなつは聞いた。
なつ「下山さんから見て、大沢さんは怖いですか」
下山「熱心だけど、全然怖くないよ。彼女の能力をわからない人には、怖く見えるかもしれないね。ほら、怒られていた堀内くん。彼も秀才だけど、マコちゃんの言っていることがわかっていないんだ。もしそれがわかれば、僕も手伝ってあげたいって思うんだけどね」
なつ「アニメーターとしてですか?」
下山「うん。マコちゃんは、アニメーターとして大切なことを感覚でわかっている人なんだ」
なつ「アニメーターとして一番大事なことって何ですか?」
「アニメーターが一番大事なことは絵に命を吹き込むこと」
下山「絵に命を吹き込むことだよ。命を吹き込むためには、見る人の感情を考えなければならない。役者とちがって、もともと命があるわけではないからね。本気で描いているアニメーターは、命を吹き込むことに悩まない人はいないよ」
なつ「だから、怒ったりもするんですね」
なつが仕上げ課に戻ると、描きかけの動画がなくなっている。大沢が持って行ったという。なつが作画課へ行くと、大沢麻子(貫地谷しほり)がまた堀内幸正(田村健太郎)に大声で迫っていた。
麻子「なぜ、これを捨てたの。私、これでいいと思う。この1枚を入れるだけで、全然違うの。私は、ずっとこういうのを望んでいたの」
堀内「これ、俺が描いたものじゃないよ」
麻子「じゃあ、誰がこれを描いたのよ」
麻子が室内を見渡すと、なつがそろーっと入ってくる。
なつ「すみません。それ私が描きました」
なつの描いた絵に感心する下山や井戸原(小手伸也)の横から大沢が鋭く迫った。
麻子「どうして描いたの?」
なつは、高校演劇部で自分が白娘(ばいにゃん)役を演じたことを話した。
なつ「だから白娘の許仙(しゅうせん)への恋しい気持ちを表現したかったんです」
麻子「もうわかった。勝手に勉強したら!」
場の空気が悪くなってしまったが、井戸原がなつの描いた動画を堀内に渡して続きを描くように指示する。
なつは、自分の絵が認められて嬉しくなり、仕上げ課に戻って仕事の続きをやりはじめる。
翌日、なつは仲務(井浦新)に喫茶店に呼び出された。
仲「アニメーターになるための社内試験を受験しないか?」(NHK総合あさ8時)