運動会で行われる組体操の安全が問題視される中、東大阪市内の小学校の保護者が「命を助けて」と発信したツイッターが話題になっている。組体操で児童が高層ピラミッドをすることに危険を感じ、組体操禁止を呼びかけたのだ。しかし2日(2019年6月)に開かれた運動会では、6段の人間ピラミッドが披露された。
組体操は、これまでたびたび問題になってきた。2015年には大阪府八尾市の中学校運動会で10段のピラミッドが崩れ、生徒6人がけが。2016年には広島県三原市の中学校で男子生徒が死亡する事故が起きた。2015年の骨折事故後、スポーツ庁は、安全が確保できない場合、組体操を行わないように全国の教育委員会に通知。ピラミッドは小学生が3段まで、中学生が4段までが限界という見解を示した。
市教育長曰く「One for all, all for oneの精神」とか
しかし、関西圏ではまだまだ事故が多い。2017年度の事故件数も1位が兵庫県566件(うち骨折は169件)、2位が大阪府464件(骨折127件)、3位は埼玉県361件(骨折は74件)で、兵庫・大阪は3年連続で1、2位というありさまだ。
その理由を、この問題に取り組む名古屋大学の内田良准教授(教育社会学)は「この数年でだいぶ鎮静化したが、巨大な組体操は関西圏や九州地方でまだ根強く残っている」と話す。
実際、高層ピラミッドにこだわる理由を東大阪市教育委員会の土屋宝土教育長はこう話す。「One for all, all for one(ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために)という精神を育てる1つのあり方として、学校現場でも教育効果があると評価しています」
また、野田義和東大阪市長も自身のツイッターで「教育委員会、各学校が教育方針と理念に基づいて、安全を担保して取り組んでおり、保護者からは組体操に否定的な意見は皆無に等しいと報告を受けています」とコメントした。
日本体育大学では「一般学生は2段までで指導」
組体操の元祖の日本体育大学で、体操の集団演技が専門の荒木達雄教授は、こういった現状に警鐘を鳴らす。「まだ5段6段やっているとは、何を考えているんだ!と思います」と呆れた様子だ。実は、日体大の体操部でさえ、人間ピラミッドは5段が限界、一般学生には2段までで指導しているというのだ。
内田準教授は「リスクより運動会での感動を優先している。周りの大人も感動を求め、それがエスカレートしていくのです」と話す。「高さを押えても横に広がったりタイミングを合わせたり、面白いもの、見栄えのいいものはできる」と、演出の工夫で感動させるものを作ることを提案する。
カンニング竹山(お笑いタレント)「僕も、人間ピラミッドのコマの1つとしてやっていましたが、大人になった今、それが何かに役立っているかというと何も役立っていない。先生が怖いからやっていただけ」
内田準教授「土台の子は、毎回毎回ただ耐え忍ぶだけです。そこにどういう意味があるのか」
政井マサ(フリーアナウンサー)「最近は先生方が何人も周りで見守っていますが、実際に倒れた時に安全を確保できのるか。完全に安全が担保できないのであればやらなくていいと思う」