川崎の事件が引き金か!? 母親に暴力をふるっていた息子を刺殺した元次官の苦悩

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   1日(2019年6月)午後3時半頃、「息子を刺し殺した」という110番が入った。通報したのは元農林水産省事務次官の熊沢英昭容疑者(76)。息子の英一郎さん(44)は胸など複数箇所が刺され、搬送先の病院で死亡が確認された。元エリート官僚の家庭に何があったのか。

   熊沢容疑者は1967年に農林省に入省。畜産局長などを経て2001年1月に事務方トップの事務次官に登りつめた。しかし、同年9月にBSE感染牛問題が発生。その責任を問われる形で02年1月に退官した。05~08年には駐チェコ大使も務めている。

   近隣住民は熊沢容疑者について「官僚でお高くとまっているかと思っていたら、とても腰が低い」と語る。

息子は「愚母を殴り倒した快感は今でも覚えている」と投稿

   その一方で英一郎さんについては「見たことがない」「息子さんがいたのか。ビックリした」と、今回の報道で初めてその存在を知った住民が多い。

   引きこもりだったという英一郎さんはツイッターに8年間で3万6千回の投稿を行い、オンラインゲームには毎日ログインしていた。ネット上で英一郎さんと知り合ったという女性は「自分から元事務次官の息子である熊沢英一郎と本名を明かしていた。親子関係は良好と思っていた」と驚いていた。

   ツイッターの投稿からうかがえる複雑な家庭環境 川崎の事件が引き金になった可能性も 英一郎さんはツイッターで「立場をわきまえなさい。庶民が私の父と直接会話なんて一億年早い」「私の父は役所で人間をいろいろ見て観察力があります」と父を誇る一方で、母親については「初めて愚母を殴り倒したときの快感は今でも覚えている」「殺人許可証とかもらったら真っ先に愚母を殺す」など過激な投稿をしていた。

   警視庁の調べに、熊沢容疑者は「長男は家庭内で暴力を振るうこともあった」と供述している。自宅からは「長男を殺すしかない」と記した書き置きが発見されている。事件当日、自宅に隣接する小学校で運動会が行われていた。熊沢容疑者は「息子が『小学校の音がうるさい』と言っていた」と供述しており、騒音が元での口論が事件の引き金になった可能性も指摘されている。

   カウンセラーの味沢道明さんはこう指摘する。

   「お父さんが立派な方で、尊敬しているが自分はそうなれないという葛藤があった。お母さんは彼からすれば立派ではない。勝手な想像だが、母親から『お父さんのようになりなさい』と言われたとしたら、コンプレックスを刺激することになる」

   山口真由(米ニューヨーク州弁護士、元財務官僚)「家族が他人に対する優越感の源であり劣等感の源。引きこもりという言葉は英語にはない」

   味沢さん「家族もしょせん他人と思えばやりやすいが、日本人は家族意識が強い。暴力をふるったときに傷害罪で逮捕してもらうといいが、問題が外に出てしまい、違った方向に新しい問題が出てくる」

   石原良純(タレント)「こういう家庭は日本中にたくさんあるかもしれない」

   玉川徹(テレビ朝日解説委員)「自分のすべてを引き換えにして家の中だけで完結させた。今は家庭の中にとどまっているが、もし家庭の外に出たらどうなるかと、川崎の事件が影響しなかっただろうか」

   味沢道明「つらいですよね。お父さんも息子さんも。出口がなかったのか」

みっちゃん

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