おしゃれで高層なほどかさむ修繕費用
都心を中心に高さ60メートル超のタワーマンションの建設が進む。都内には780棟22万戸のタワマンがあり、今後も34棟が建設予定だ。10年前からの建設ラッシュで、多くが修繕時期を迎えつつある。費用は低層マンションよりかさむ。しゃれた形状によっては、修繕費はさらに高騰する。
タワマンの70%は修繕積立金を入居時に低く抑え、後に上げていく「段階増額積立方式」をとっている。そこに追加の値上げはなかなか合意できない。入居者数も多いから、合意そのものが容易にはいかない。「住民や所有者の価値観がいろいろで、一致させるのは大変。何をめざすのかをまずはっきり示して話し合わないといけません」と深山さんはアドバイスする。
人口増を図るために、タワーマンション建設に補助金を出して促進した自治体も変化しつつある。58棟が林立する東京都中央区は、建築規制の容積率も緩和して「50階まで可能」にした。これで人口がこの20年間で倍増したという。しかし、駅は人であふれ、学校や保育所は不足し、容積率緩和の廃止を決めた。
人が増えればどうなるかはわかっていたことで、東洋大の野澤千絵教授は「全体をどうコントロールするかの仕組みが日本にはなかった」と批判する。それでも、なお再開発につき進む自治体は多い。「住宅総量のコントロールをしていないのは、先進国で日本だけです」(長嶋さん)という。東京オリンピック選手村跡地にはタワマンを中心に1万2000人が暮らす「晴海フラッグ」も建設予定だ。
*NHKクローズアップ現代+(2019年5月30日放送「"都会のマンション"に異変!あなたはどうする?」)