28日(2019年5月)に川崎市で19人が刺され、2人が死亡した事件を受け、政府は閣僚会議を開き、安倍首相は「通学路の安全確保を徹底する」などの指示を出した。
日本の学校の防犯意識はだいぶ変わってきた。2001年6月、大阪教育大附属池田小に侵入した男によって児童8人が刺殺され、教師2人を含む15人が重軽傷を負った事件を受け、安全に対する意識が急速に高まった。
全国の学校では、廊下側の壁をなくす、見通しの良い教室配置にする、校門を1つにして警備員を配置する、監視カメラや個室トイレに防犯カメラを設置するなどの対策が取られてきた。
カリタス小学校でも防犯対策は万全だった。校門は常に閉め、門の前には警備員2人が立っている。スクールバスのバス停やバスの中にも常に職員がいる。電車の到着時刻に合わせ職員が改札まで行き、子どもたちを集めてバス停まで引率するという徹底ぶりだ。
スクールバスが狙われた
しかし、今回は「安全な通学手段」と言われるスクールバスが狙われてしまった。「ビジネスインサイダージャパン」統括編集長の浜田敬子氏は「明らかにカリタスの児童さんしかいない。逆に、まとまっているところが狙われてしまいました。だから集団登校も盲点です」と指摘する。
これまでの防犯の重点対策は、児童生徒を1人にしないことだった。今回は近くに大人の目があり、集団でいたところを襲われた。変質者には有効だが、大勢いる方が好都合と考える犯罪には逆効果だったのだ。
テレビ朝日の玉川徹コメンテーター「いやあ、どうしたらよいんだろう。ある種のテロですもんね」
巻き添え自殺予備軍に対策あるのか?
司会の羽鳥慎一は「ハード面では限界があるとすれば、(巻き添え自殺)予備軍と思われる人たちに社会としてどう接していけばよいですか」と精神科医の片田珠美氏に聞く。「予備軍といわれる人たちは、喪失体験を全部他人のせいにし、どんどん孤立していきます。絶望感にさいなまれた時、経済的な補助とか、つなぎ止めるものがあれば、孤立を防げます」
臨床心理士の矢幡洋氏矢幡氏は「自殺のスタイルは流行性があります。連鎖を押えるためにも、報道の仕方も考えないといけません。あまり型にはめて、こういうタイプの人はこうですと言ってしまうと、自分もそうだと思った人は『俺がこういうことしても必然の流れなんだな』となってしまうんです」と話す。
玉川「僕は経済的なことよりも、心の問題だと思いますね。実際に孤立しているかではなく、孤立感を持っているかどうか。SNSの社会的な意味はそこにある。自分の悪意をゴミ箱のように捨てる場所ではなく、絶望感を持っている人が繋がれるようなツールであって、もし心がつながっていれば、こういう凶行にはつながらないのではないでしょうか」
片田氏「1人ぼっちじゃないと思えることは大事です。でも、SNSは毒を吐き出すツールになっています。サポートどころか、叩き潰すツールになってしまっている」