他人の遺骨と一緒に墓に入る公営の「合葬墓」を取り上げた。お寺などが管理する墓に比べて安価なうえ、管理も不要とあって、生前に自分で合葬墓を選ぶ人が増えているという。
守り手のいないお墓の墓石の不法投棄が、10年ほど前から社会問題化している。墓じまいや墓の引っ越しのために遺骨を移動させる「改葬」も、この10年間で約7万2000件から約10万4000件に増えた。
合葬墓は血縁関係のない人同士の遺骨を一緒に埋葬し、後継者がいなくても自治体が管理する。秋田市が管理する合葬墓は遺骨をそのまま入れる形式で、1500体を埋葬できる。お墓にかかる一般的な相場が150万~200万円なのに比べ、合葬墓なら1体1万7000円。ただし、供養はしない。
「申し込みが殺到し、1500体があっという間に埋まってしまいました」と市生活総務課の柴田浩課長は話す。このため、急きょ増設し、先月(2019年4月)に2つ目の合葬墓を作った。
自治体などが維持管理して、供養なし
神奈川・川崎市の大久保興一さん(85)は、今年3月(2019年)に完成した川崎市が運営する合葬墓に入ることを検討している。「子どもにお墓を維持管理させるのは大変なこと。家族も『それはいいね』と言っています。もう割り切ってます。みんなと一緒に入る方が楽しいんじゃないでしょうか」と話す。
70代の男性は「お墓はありますが、娘が2人なので。草ボーボーになるよりは墓じまいして、(合葬墓に)入った方がいいかと思っています」と話していたが、妻は「墓は代々守っていくという時代に生まれ育ったので、まったく抵抗がないとは思いませんが、時代の流れなのかな」と本音をもらした。