都会に定住する「アーバンイノシシ」が、市街地の学校やコンビニ、商業施設などで頻繁に目撃されている。福岡市の駅前では昨年(2018年)10月、男性がイノシシに足を噛まれて大けがする被害もあった。兵庫・神戸市では、イノシシに餌付けをし、近寄ってパシャパシャ写真を撮る人までいる。
兵庫県立大学の横山真弓教授はこう警告する。「通常、イノシシはミミズや土壌の昆虫、木や草の根っこなどのエサで十分体が大きくなれます。しかし、(生ごみのような)野生にはないような高カロリーな食べ物を一度食べてしまうと、麻薬のようにやめることができなくなります。
人は自分たちを攻撃してこない生き物で、非常に栄養価の高い食料を持っている。それを奪い取っても自分に攻撃してこないと学習してしまうんです」
神戸市では現在、条例でイノシシへの餌付けが禁止されている。
動物にとっても都会は暮らしやすい
博多大吉キャスター「山に食べ物がなくなって、人里に下りてきているんですか」
イノシシ研究家の小寺祐二さん「山はイマ非常に豊かになっていて、そこで増えたイノシシが新天地を求めて出てきています。耕作地だったところが耕作放棄されていることや、都市部も緑豊かにということで、動物が住みやすい環境を提供しているので、一度都市部に入ってしまうと、定着しやすくなります。日本で減っているのは人間くらいなんです」
東京でもあきる野市の住宅街で目撃されたり、府中市で電車と衝突したりしている。ばったり遭遇したらどうすればよいのか。
小寺さん「まず、イノシシがどういう状況か観察してください。普通なら人間の姿を見れば逃げていってくれます。逃げずに人間の方を見ていたら、壁や塀の裏に隠れます。隠れる場所がなければ、牙にやられないように高い所に上がる。イノシシで一番危ないのは牙です。木があれば木に登ってください」
隠れる場所も登る所もなければ、ジャケットなどをイノシシの顔にかけてる。傘を持っていれば、イノシシに向かって開けば攻撃を交わせる可能性が高い。
小寺さん「イノシシの習性として、目の前に見通せない所があると、そこから先に突っ込まないんです」