中国で新しいクマが問題になっている。クマといっても、「熊子供」「熊家長」といわれる人間である。度が過ぎるイタズラをする子どもと、子どもを注意しない親のことだ。
監視カメラの映像によると、高級車のベンツを滑り台にして遊んだりするのは序の口だ。クレーンゲームの中に入って景品を盗んだり、車に爆竹を投げ込み全焼させたりする。命にかかわる悪質なイタズラもある。高層のマンションからコンクリートブロックを投げ落とす「熊子供」もいた。幸いケガ人はなかったが、当たったバイクはグシャグシャに壊れた。
「一人っ子政策」で甘やかされてきた親と子
「熊家長」も問題だ。バスの中で子どもがつり革にぶら下がって遊んでいる。運転手が「こら、ボク、座りなさい」と注意すると、一緒にいた母親が運転手に「お前に関係ないだろ」と言い返し、その場で電話でバス会社に「あなたのところの運転手、態度が悪すぎる。うちの子は吊り革で鍛えているの」とクレームをつけた。
ショッピングセンターなのか、子どもがエレベーターのドアを蹴飛ばし壊した。しかし、母親は「エレベーターの品質に問題がある」と怒り、修理代の支払いを拒否したという。
中国人ジャーナリストの周来友氏は「原因は、もとをたどれば中国の『一人っ子政策』だと思いますね。いまの熊子供の親が、親に甘やかされて育ったから、子どものしつけの仕方が分からない。自分の子どもが注意されても、注意した人に逆上するんですよ」と話す。
中国政府もアニメや映画でしつけ教育
中国政府もアニメ制作やテレビ番組など対策に乗り出しているが、周来友氏は「国としては、新たな取り組みが必要だと思いますね」と指摘する。
キャスターの堀尾正明「甘やかされるということは、自分さえ楽しめれば、他人の迷惑は考えないということでしょう。こういう中からエリートが生まれて、共産党員になって、自分の国のことしか考えられないような政治家が生まれるんじゃないかな、とすごく怖い」