救急車を呼ぶほどではない。しかし、なんとかしたい。とくに休日や夜間――。こんな要求に応えてくれて、なんと、家まで来てくれる「ファストドクター」というシステムが注目されている。
コールセンターには、相談と依頼の電話がひっきりなしにかかってくる。6人のオペレーターがその訴えを聞く。本物の救急が必要か、翌日に病院へ行くことでいいのか、それとも往診か。これを2人の医師が判断する。そして、往診となった時は、待機している最寄りの医師に連絡が行く。
ファストドクターの発足は救急搬送の急増からだった。救急要請のうち、軽症が48.6%、中等症が41.6%、重症以上は9.8%に過ぎない。要請631万件に対して、搬送は574万件だ(2017年)。緊急性の低いものの受け皿としてできた。保険が適用される。薬もその場で処方できる。外科セット、採血道具、会計セット(釣り銭、カード決済可)から、ポータブルのレントゲン撮影機まで持っている。情報はセンターからスマホで送られてくる。
階段から落ちて立ち上がれない!小型レントゲン機も携行
ファストドクターは東京23区を中心に、3年前に設立された。いまは医師200人が登録している。その1人、名倉義人さんは四谷ホームクリニックの院長で、5月3日は午後7時から翌朝6時までが受け持ちだった。同時に7人の医師が動いていた。連休中も休みなしだ。
最初の往診は午後10時頃、55歳の女性が嘔吐、下痢の症状という。夫と一緒に3泊5日のタイ旅行から帰ったばかりだった。採血をして、炎症の度合いを見る。白血球は正常の範囲だった。食べ物に当たったというので、薬だけ。血液検査と交通費とで自己負担額は1万140円だった。
午後11時、次の往診は、引越し仕事で腰に激痛という58歳の男性。ぎっくり腰だった。コルセットと痛み止めを処方して様子を見ることに。「ぎっくり腰は往診が一番。病院だと帰るのが大変」と名倉さん。
次は、40代の女性が階段から落ちて立ち上がれないという。ここでは小型レントゲン撮影機が活躍した。結果はパソコン画面に出る。「骨に異常はありません」。足首を固定して様子を見ることに。自己負担は、松葉杖の貸し出し、レントゲンなどで2万1200円だった。
深夜の食事はコンビニのパンとコーヒー。この日は8件を訪問して、午前5時半に往診終了となった。
子どもの急な発熱にも対応
政井マヤ(フリーアナウンサー)「子どもが熱を出したりした時に、来てくれたら本当に助かりますよね」
司会の国分太一「これが全国に増えたらいい」
堀尾正明キャスター「むだな救急車を呼ばないと、医療費も抑えられるますよね。子育て支援にも、高齢者支援にもなる。いいシステムです」
カンニング竹山(芸人)「ただ、医師にトータルな経験が必要になりますね。そういう医師の確保が必要で、地方へ行くと課題は多いんじゃないでしょうか」