静岡県で「アポ電」が次々と掛かっていて、NHKを名乗っての高齢者から貯金額を言葉巧みに聞き出している。静岡県警が公開した音声には、「NHK静岡放送局のアンドウ」を名乗り、わずか1分半で80代女性から貯金額を聞き出していた。
その驚きのテクニックはこうだ。男は物腰の柔らかい声で、「夕方6時10分から放送されておる『たっぷり静岡』という番組をご存じないでしょうか。そちらで今、一人暮らしのお年寄りを対象に統計調査を行っておりまして」と切りだす。実際に放送されている番組名を挙げ、短いやりとりの間に、さりげなく独居であることを確認している。
肝心の資産状況を聞き出す会話がまた巧妙だ。「昨年の静岡県の統計調査では、老後を見越した預貯金が平均で600万円ほどとなっておりますが、個人的な数字を聞く訳にはいかないので」と前置きして安心させた後、「(600万円より)上か下かでいいので、お答えください」と聞き出した。
女性が答えると、男は「上ということで大丈夫ですかね。ご協力ありがとうございました」と丁寧に電話を切った。この女性は不審に思い、警察に通報した。
NHKもホームページで注意呼びかけ
NHKは公式ホームページで「NHKの世論調査では電話で個人の年金の受給額や預金残高を聞くことはございません」と注意喚起をしている。
石原良純(気象予報士・タレント)「ここ数か月で特殊詐欺の手口が巧妙化していますよね。最初は、僕は絶対に騙されないと思っていたけど、あの物腰の柔らかさでNHKを名乗られたら、ポロッと言ってしまうのは分かりますよ」
山口真由(ニューヨーク州弁護士)「最近、すべてが疑わしく思えてしまいます。宅急便の連絡がLineに入っても、本当だろうかと思ってしまう。全部を疑わなくてはならない世の中なんて悲しいです」
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「各メディアが世論調査していますが、その通常の質問の中に、こういう(資産状況を聞き出す)質問が紛れ込んでいたら僕だって見分けがつかない」