高齢者ドライバーは「縁石」が苦手!池袋の母娘死亡事故も乗り上げてパニック

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   東京・池袋で車が暴走し、31歳の女性と3歳の娘が亡くなったが、運転していた87歳ドライバーは、ガードレールに接触したのではなく、縁石に乗り上げてパニックとなり、ブレーキとアクセルを踏み間違えて、時速100キロ以上で暴走したことがわかった。

   警察庁科学警察研究所で交通事故の鑑定・分析をしてきた山梨大学大学院の伊藤安海教授は、「縁石の乗り上げ実験では、時速40キロで危険だからやめました。(池袋で事故を起こした車は)50キロは超えて乗り上げたようなので、若い人間だったとしても、頭が真っ白になるくらいの衝撃だったと思います」と話す。

教習所の実車指導でも方向転換やクランクで失敗

   高齢者にとって縁石は鬼門らしい。千葉・富津市の大佐和自動車教習所の実車指導では、縁石に乗り上げる高齢ドライバーが多い。方向転換やクランクで縁石に乗り上げたり、接触したりしまうのだ。伊藤教授は「空間認識機能が落ちているので、自分がどれくらい縁石に近いとか、車がどっちを向いているかとかが掴めない方が多いんです。車庫入れも同じです」という。

   ただ、危なっかしい操作でも、実車指導を受けた高齢者全員が免許更新できた。指導員は「危ないとは思いますが、制度的に免許を取り上げることはできないんです」と話す。

   「ビジネスインサイダージャパン」の浜田敬子統括編集長は、「免許取る時は、実地試験で縁石に接触したら落とされます。75歳の時に、認知検査とともに実地テストもして、クリアできなければ免許更新できないくらいしないといけませんね」と厳しい指摘をする。「うちの父も、60歳過ぎて縁石に擦るようになり、これはもうヤバいということで免許返納しました」

各自動車メーカーの運転支援システムを比較

   実際は、自主的に免許返納する高齢者は少ない。最新技術で事故を防ぐことはできないのか。「モーニングショー」はトヨタ、ホンダ、日産、スバルの最新車種に標準装備されている運転支援システムを比較した。自動ブレーキに関しては、対自転車や夜間についてはまちまちだが、どれも対向車、歩行者に対しては、きわめて有効だった。

   もちろん、万能ではない。悪天候(センサーやカメラが正確に作動しなくなる)、歩行者が集団でいる(人間かどうかセンサーが見分けにくい)、傘やリュック、レインコートなどで歩行者の一部が隠れている(人間かどうか見分けにくい)などのときは、反応は鈍くなる。また、身長1メートル以下の子ども、歩行者が背景と似ている色の服を着ている場合も認識が難しい。

   浜田「データが溜まれば、どんどん精度は上がると思います。ただ、機能が進化していっても、問題は(そういう車を)買うかどうか。高齢者の免許問題は家族の問題だと思います。本人はまだ大丈夫と言っていても、家族が客観的に見て、買い替えや免許返納を話し合いで決断させないといけませんよね」

   玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「私も父に買い替えを勧めました。80歳を超えているので、運転するのだったら、機能が1番充実しているものにしてくれ、と」

   伊藤教授「周りの声は大事です。内心、不安があったとしても、向き合わずに『自分は大丈夫』と自己暗示にかけてしまうところがあるので」

文   ピノコ| 似顔絵 池田マコト
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