学生向けの講演会やイベントなどで人気を博していた、元ヤンキーで東京大学卒の「カリスマ起業家」の告白が波紋を呼んでいる。17日(2019年4月)、自身のツイッターで「お詫びと謝罪」という出だしで、「『東京大学卒業』『イスタンブール大学院所属』『17社起業』といった経歴は全て嘘のものでした」と明かしたのだ。実は中卒で、収入ゼロのニートだという。
きらびやかな経歴で、セミナーでは人気ナンバー1だったという男の突然の告白に、「信者」たちはショックを隠せない。就職活動中、厳しいアドバイスを受けたという女性は「私はあんなウソつきからボロクソ言われたのか!」と怒りをあらわにする。
しかし、この男、映像で聞く限り大したことを言っているようには思えないのだが、人々はどうして騙されたのか。
スティーブ・ジョブスばりジェスチャーがそれっぽく...
答えはその見せ方(魅せ方?)にあるようだ。
2015年に開かれた学生向けイベントでは、舞台に現れるといきなり客席をスマホで撮影、突然座り込んで無言のまま会場を見渡し、聴くものを引き込む。ヘッドセットを装着し、まるでアップルのスティーブ・ジョブスのようなオーバージェスチャーで、流ちょうに話す。時に声を張り上げて熱弁をふるう姿もあった。
完全にカリスマになり切っているように見えるのだが、男はいつから偽りの人生を歩むようになったのか。
男が中退したという高校の元同級生によると、男はごく普通の目立たない生徒だった。成績は中の下。男が自己紹介したような「小学校から酒が好きで、中学では体中にタトゥーを入れ、夜中バイクを乗り回していたヤンキーだった」事実はなく、悪エピソードといえば友達のノリに合わせて女子高に侵入したくらいだ。
男は、のちに北関東の地元から東京の私立大に進んだ(中卒ということはこの大学も卒業していないのだろう)が、これが運命の別れ道だったようだ。なんとその大学は東大と道路を挟んだ目と鼻の先。そこで東大生と交流を持つうちに、同化してしまったようだ。
ツイッターで指摘され、1時間半後に「ウソでした」
8年間塗り重ねた嘘を認めたきっかけは、東大を中退したというある人物からのツイートだった。この人物が17日、本人に直接経歴詐称を指摘したところ、わずか1時間半後、あっけなく「嘘でした」と認めたという。
経歴詐称をした男とアドバイザー契約をしていた企業は「本人と連絡がつかず戸惑っている。今後の事は弁護士と相談して考えたい」と話している。
菅野朋子(弁護士)「虚言癖があるんでしょうね。本人も成り切っている」
司会の羽鳥慎一「大したこと言っていないんだけど、東大出て17社起業って聞くと『うーん、なるほどね』って思っちゃう」
菅野「話し方が説得的でうまいですよね。掴み方もうまい。セミナーなんかで騙される人はみんなこんな感じで騙されるのでしょう」
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「ヘッドセットをして歩きながらしゃべるのっていいね。身体を動かしながらしゃべると言葉が出てくるんだろうね。今後から僕もヘッドセット用意してもらおうかな」