12日(2019年4月)に行われた東京大学入学式で、上野千鶴子・名誉教授が述べた祝辞が波紋を投げている。テーマは、今も残る性差別、恵まれた環境に甘えるなという厳しい指摘。女子の新入生は「心に響きました。いいアドバイス」と言えば、男子学生は「ハッとした」。しばらく論争は続きそうだ。
上野千鶴子氏(70)は社会学者。女性学のパイオニアで、かつて、歌手のアクネス・チャンさんが「子連れ出勤」でバッシングされた時、敢然とアグネスさん擁護の論陣を張ったことでも知られる。
恵まれた環境と能力を恵まれない人に使って
上野氏は、昨年(2018年)の私大医学部の女性差別問題から、東大にもある「性差別」に触れ、「社会に出ればもっとあからさまだ」と切り込んだ。
そして「覚悟」を迫った。「頑張れば報われると、ここまできた。が、そう思うこと自体が環境のおかげだったことを忘れないで。頑張っても公正に報われない社会があなた達を待っています」と訴えた。
「頑張りを自分が勝ち、描いた絵だけに使わないで。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれない人を助けるために使ってください」
最後にこう言った。「これまであなた方は、正解のある知を求めてきた。あなた方を待っているのは、正解のない問いに満ちた世界です。大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことがない知を生み出すための知を身につけることだと確信しています」
「知を生み出す知を『メタ知識』といいます。これを身につけてもらうことこそが大学の使命です。ようこそ東京大学へ。おめでとう」。拍手が巻き起こった。
国分太一(MC)「最後にようこそと。これ、学生だけじゃなくて、僕たち社会人にもメッセージを送っているように見えた」
政井マヤ(フリーアナ)「いろんなメッセージに溢れていて、本当に素晴らしい祝辞。語り継がれてほしい」
カンニング竹山(芸人)「頑張れば結果が出るが、社会へ出ると違う。学はないけど知恵があるやつとか、いろんな奴がいる。知識を自分の利益だけのためでなく弱い人のために使ってくれと、人間としての基本ですよね」
堀尾正明「上野さんは京大の哲学科出身。こういうこというとわかっていて話させた東大もすごい」