4月11日(2019年4月)にマリンメッセ福岡で開催された「フィギュアスケート国別対抗戦」の女子SP(ショートプログラム)で、紀平梨花選手はすべてのジャンプを完璧に決め、自分が持つSP世界最高得点を上回る83.97を記録した。
スポーツ衛星放送局「ユーロスポーツ」コメンテーターは、「16歳の日本人は83点を超えた初めてのスケーターとなった」、ロシアスポーツ専門ニュースサイト「チャンピオナト」は「紀平が戻ってきた。完璧な演技で83.97という天文学的な数字をたたき出した」と報じた。
直前滑走で感じた違和感「なにかしっくりこない」
紀平の演技の鍵を握るのはトリプルアクセルだが、成功の秘密はシューズのフィット感にあった。公式練習中にもコーチからテープを受け取ると、シューズをぐるぐる巻きにした。演技直前の6分間練習ではトリプルアクセルを立て続けに失敗したが、本番までの短い時間に再びテープで調整を続けた。そして、「正解がわからないまま」本番のリンクに飛び出した紀平は、完璧な演技を披露した。
演技後、紀平は「今までの中で一番いいアクセルが跳べました。テープを強めに巻いたのがよかったんでしょう。ギリッギリのギリギリセーフでした」と話した。
応急措置にも動揺しない精神力
吉永みち子(作家)「舞台裏で、直前までテープを巻いて調整していたとは、どんな心境だったのでしょうかね。それなのにリンク上でのあの笑顔はすごいですよ」
長嶋一茂(スポーツプロデューサー)「少なくとも前日までに調整できてないと、アスリートは普通はヤバイ、ヤバイとなってしまう。それを直前までやってあの演技ができるというのは、精神力の強さはアッパレです。今回はアナログ的にテープを巻いて調整してうまくいったけど、フリーの時に同じようにできるか、不安は取り除けないでしょう」
あす13日に女子フリーが行われる。