京都の人気観光地、嵐山近くの桂川河川敷で、大型野犬が群れている。多い時には十数匹がうろつき、近くで暮らしている様子だ。付近には「野犬注意」と書かれた大きな看板が掲示され、近所の住人は「怖い」「散歩してたら襲われた」と話す。
中谷隆宏リポーターが近づくと威嚇するように激しく吠える。「一見すると、同じような毛色の犬たちですね。家族でしょうか」。どの犬も首輪はしていない。日が暮れると、「茂みからまた別の集団が出てきました。10時を回ったことですが、犬の鳴き声が続いています。暗闇に両目が光っています」(中谷)
京都府と連携して野犬の保護を行っている京都動物愛護センターの河野誠獣医師は、人に飼われていた犬が捨てられて、野生化したものだという。「野犬が増えたのは、今年(2019年)の2~3月頃からです。もともとは別の場所に生息していたが、縄張りを移して、桂川沿いにやってきたのでしょう」と推測している。
襲われれば狂犬病や破傷風のリスクも
行政は去年4月(2018年)から今年3月までに42匹の野犬を捕獲・保護している。その半数以上が子犬だった。人への危害はまだ報告されていないが、噛まれた場合には狂犬病や破傷風のリスクもあると注意を促している。
河野獣医は「段ボールにドッグフードを入れて置かれているなど、エサに恵まれている状態です。ドッグフードは栄養価が高いので、繁殖力も上がっているでしょう。エサが与えられると保護しにくくなるので、保護を進めるためにも、エサをあげるのは遠慮してほしい」と訴えている。
高木美保(タレント)「お腹がいっぱいになった犬は捕獲用のケージにも入りにくく、新しい飼い主にも出会えなくなります。犬には3つの距離感があり、警戒する距離、威嚇する距離、戦う距離です。無暗に近づかないこと」
捕獲されれば殺処分が待っているわけで、ワンちゃんたちは無責任な飼い主の犠牲者なのだ。