先月29日(2019年3月)タイのリゾート地、パタヤビーチの高級住宅街で15人の日本人が不法就労の疑いで逮捕された。マスコミに公開された現場には電話機52台、パソコン19台が残されていたが、摘発のきっかけはこうした大量の電話機を不審に思った家主が警察に通報したことだった。
タイ警察によると、彼らは2ヶ月ほど前から共同生活をしながら振り込め詐欺を行っていた。被害額は少なくとも2億5千万円とみられているが、逮捕された男たちはほとんどが20代の若者で、取材する記者をにらみつけてアクビをする、「これヤバイやろ、あはは」とふざけた態度をとるなど、悪びれた様子はみられない。
国際電話でも表示される番号は日本国内のもの
現場の部屋には「水曜日、日曜日 床掃除、電話機拭き」といった共同生活のルールや、目標達成グラフなどが貼られていた。ルポライターで悪徳商法評論家の多田文明さんによると、今回逮捕された日本人はSNSなどで集められた。パスポートを金庫に預けさせ、身動きできないように缶詰状態にしてやらせているという。現場には電話をかける際の詳細なマニュアルも残されていたが、多田さんは「マニュアルを使って集団行動させることで罪の意識を感じさせないようにしている」と解説する。
なぜ振り込め詐欺の電話を海外からかけるのか。
多田さん「彼らはIP電話を使っている。インターネット回線を使うから基本的にほとんど料金がかからず、日本のIPサービスを経由しているので、タイからかけても03、06、050など国内の番号が表示される」
拠点が海外に移った背景には、2016年12月の通信傍受法改正がある。国内の詐欺集団が捕まりやすくなり、拠点が中国へ移動。しかし中国でも2017年6月に35人が拘束されるなど取締りが厳しくなり、東南アジアへとさらに移動していった。
多田さん「日本人はタイにビザなしで30日間滞在でき、日本との時差も少ない。インターネット環境が整備されていて生活費も安く、観光地は日本人が集団でいてもおかしくないためパタヤビーチが選ばれたのではないか」
日本の警察は現地へ捜査員を送り、詐欺事件として調べる方針だ。
橋本五郎(読売新聞特別編集委員)「今回、家主の連絡が発端となったが、これからは国際的な協力が必要。東南アジア諸国との連携が大事になると思う」
司会の加藤浩次「フィリピンにもアジトがある可能性も」
橋本「海外から電話かけても03の番号が表示される。文明の利器が犯罪を暴くのが難しくしている」
今後要注意のキーワードは「新元号」「消費税」「オリンピック」。新元号詐欺はすでに被害者が出ている。
近藤春菜(お笑いタレント)「実在の企業名を使って(詐欺の)メールを送ってくるケースもある」
加藤「『振り込んでくれ』とくるのはまず詐欺」
文 みっちゃん