塚田一郎・国土交通副大臣の「忖度発言」は、語るに落ちるとしか言いようがない。安倍総理と麻生副総理の地元なので、下関北九州道路を国の直轄事業にして予算を付けた。2人への忖度だ――とぬけぬけと利益誘導を自慢したのだ。
問題発言は今月1日(2019年4月)、北九州市で開かれた福岡知事選の集会で出た。塚田氏は元は麻生氏の秘書だった。演説の前には、「麻生太郎命で、筋金入りの麻生派でございます」といっていた。
国会で追及されると「ぜんぶ口から出まかせでした」
本州と九州を結ぶ道は、関門トンネルと関門橋しかない。下関北九州道路は第3のルートになると期待されていたが、2008年に財政難で計画がストップした。これについて、圧力があったと、塚田氏は実名を挙げて話していた。吉田博美参院幹事長と福岡選出の大家敏志参院議員がやってきて、「塚田、わかってるな。総理と副総理が地元の事業だ」と言ったというのだ。
野党から追及された塚田氏は衆院内閣委で、「事実と異なる発言によりまして、ご迷惑をおかけしました」と頭を下げた。「事実と何が異なっているのか」(立憲民主・初鹿明博議員)と追及されると、「忖度したことはございません。特別配慮もございません」と否定した。安倍首相も発言撤回を是として、罷免しないとした。
安倍・自民党は7月参院選に大きなダメージ
国民民主党の玉木雄一郎代表は「典型的な公共事業の利益誘導。それを選挙に使う。昭和の自民党政治が復活している」と批判し、立憲民主党の辻元清美国対委員長も「いった途端に辞任ものですよ。撤回・謝罪して済まされる話ではありません」と追及する構えだ。
司会の国分太一「安倍さんも、発言が問題だとはいっているんですよね」
龍崎孝(流通経済大学教授)「問題の本質は忖度ではなくて、予算の決定に政治的な力関係が働いていること。自民党の予算の決め方を説明する必要があります」
堀尾正明キャスター「利益誘導を疑われても仕方がないですよ。モリカケ問題であれだけ言われた忖度を、ユーモアに使ってる。全然わかってない。塚田さんは7月の参院選の改選候補の1人ですから、もし安倍さんが続投させたら大きな争点になります」
テリー伊藤(タレント)「忖度の先に自分の選挙も含めた三段論法です。自分の選挙に税金を使っていることになる」
政治家が自分の選挙区に国鉄路線を引っ張んてくるのを「我田引鉄」といったが、これは「我田引道」、あるいは「ボス献道」といったところか。