熊本市の認可保育所「マリア幼愛園」で、女性保育士が園児に暴言を浴びせる様子を録音した音声をJNNが入手した。泣きじゃくる園児を「うるさい」と怒鳴り、意地悪な言葉でネチネチと追い詰めていく。たとえば、歌が覚えられない園児に対してはこんな具合だ。保育士たちは40代と30代の女性3人だという。
保育士「歌もせんで遊んでばっかおって。よっぽど自信があるとだろうね」
園児「(泣きながら)ちがう」
保育士「僕は完璧だから遊んでましたって言ってくれば?」
園児「(泣きながら)いやだ。完璧じゃない」
保育士「へえ、完璧じゃないのに遊びよったんだ。ふーん」
また、寝付かない園児に対しては――
保育士「寝なさい。寝て。うるさい。寝なさい!」
園児「(泣きじゃくりながら)いや」
保育士「あー、わざとまたギャーギャー言いよる。ご迷惑です。寝て」
園児「(泣きじゃくりながら)いやだ」
保育士「嫌じゃないて。ひよこ連れていくよ」
園児「(泣きじゃくりながら)いやだ」
保育士「ここで寝るか、ひよこで寝るか、どっちか。どっちにしますか。どっちにしますか。どっちにしますかって」
園児はただただ泣きじゃくっている。
保育士「早くして。早くして。ギャーギャー言わんで寝て。迷惑だけん、早く布団に行って。寝といて。邪魔だけん。そがんいつまでも泣くなら、ひよこたい」
園児「(泣きじゃくりながら)いやだ」
「ひよこに連れていく」とは、3歳以上の園児を1歳以下の園児のクラスで過ごさせることを指すのだという。
あまりにもひどいと保護者が録音
熊本市保育幼稚園課の宮崎淳司課長によると、昨年7月(2018年)に保護者から「不適切な保育がある。改善するよう指導してほしい」と申し立てがあったという。熊本市が指導にあたったが、改善がみられなかったため、保護者側が保育士の言動を録音し、今年1月(2019年)に音声データを園と熊本市に提出した。
これに対し、園側は「イライラしてしまい、子どもに厳しくした」「園児が泣くまでからかった」など、26項目の不適切行為があったことを認め、問題とされた保育士3人は3月で退職にしたという。
「ビビット」の取材に、城明子園長は「しっかり保護者の信頼を取り戻せるよう、子どもたちのために頑張っていきたい」と話しているが、保育ジャーナリストの普光院亜紀氏は「保育士から心を傷つけられるような対応を受けたということは、とても心配ですし、人権侵害です」と指摘する。
谷本有香(「フォーブスジャパン」副編集長)「完全な虐待だと思います。国は保育所を増やすようにしていますが、質の部分は各園に任せてしまっています。国が園の指導に関与しなければいけない異常な事態になっていると思います」
テリー伊藤(タレント)「保育士さんの喜びとか誇りって何なんだろう。そういう哲学的なものがないと、なかなか続けられないですよ」