賃貸住宅大手の「レオパレス21」が18日(2019年3月)、施工不良問題に関する外部調査委員会の中間報告書を国土交通省に提出したが、「手抜き」の指示は、同社の創業者で社長を務めていた深山祐助氏(73)から出ていることがわかった。
報告書では「原因は、全社的な開発・施工態勢のずさん・脆弱さ」であり、「組織的、構造的に存在していた」としている。
同社の建物では、1996年?2009年に建てたものが建築基準法違反の疑いが出ていた。さらに先月(2月)1324棟のアパートでも施工不良が見つかり、入居者1万4443人が引越しの対象となっている。
問題の社長は別の私的流用で引責辞任していた
実際に建物の中に入ってみると、天井裏には「界壁」というものがない。本来は、部屋ごとに界壁で隔てられ、強度を保つと同時に、火災の延焼を食い止めたりするものだが、これが全然なく、天井裏は吹き抜けになっていた。
また、外壁が発泡ウレタンだったところでは、耐熱性・耐火性はおろか、隣の部屋の音が筒抜けという状態だった。
発泡ウレタンの使用は、報告書では、「当時の社長であった深山祐助氏の指示による」とあった。理由は「施工業務の効率化」、つまりは工期短縮だ。さらに法的にチェックする態勢もなく、これらが組織的に行われたのだという。
深山氏は、2006年に約48億円の私的流用が発覚して引責辞任した。東京都目黒区内の豪邸に人の気配はなく、現在役員をしている不動産会社は、ビビットの取材に「他社のことにコメントできない」と答えた。「他社」のことではあるまい。
国分太一「コメントすべきでしょうね。また、元社長が辞めた後も施工不良は続いていた」
一級建築士の岩山健一さんは、「それが、スタンダードになっていたということではないか」という。「(チェックの不備は)指摘する技術者がいなかったか、地位が認められていなかったか」
国分「それはひどいですね」
会社の会見では、「社長の関与は、把握していなかった」「組織的という認識はなかった」などが語られた。さらに入居者が引越しする費用は、「全額負担」といっていたのだが、「レオパレス以外への引越しには、費用負担はできない」という。
目下、引越しずみが425人だが、約5700人は目処が立っていない。ひどい企業があったものである。