あのITベンチャーたちがここから巣立った
2月下旬、解体にかかったビルには、十数年前の一大ブームの記憶が刻まれていた。ITベンチャーの「DeNA」「Mixi」「Cyber Agent」などがここで生まれた。家賃が安い、地の利がいいと日本中から若者が集まり、聖地になった。
2008年に創業した南壮一郎さんは、今1300人規模の会社を経営する。「何もなかったから、未来を語った。あの町があったから」という。
この一画は今年10月には更地になる。4年後には、恵比寿につながる15メートル幅の道路や高層ビルができ、駅への遊歩道も整備されて生まれ変わる。
武田真一キャスターは、現場でギターを弾いて、「時代」と「乾杯」をちょっと歌ってみせる大サービス。「時代を生きた人たちの声や匂いや涙が重なっていた」といった。
ノスタルジーはここまで。町は一度消えればもう、別のものになる。それでなくても、桜丘町の坂を登れば、オシャレの町・代官山ではないか。前回割りを食った分、今度のオリンピックで挽回してやれ。
文
ヤンヤン