自民党の二階俊博幹事長の発言が波紋を広げている。12日(2019年3月)の会見で「(安倍首相の4選は)十分ありうる」といった。野党はこれに「悪夢だ」と反発。自民党に内も微妙な空気が流れるが、御歳80歳は異様に元気だ。
幹事長発言には、14日の国会でも質問が出た。しかし当の安倍首相は「(総裁)4選は禁じられておりますので、ルールに従うのは当然のこと。最後の任期を全力で結果を出していく」とかわした。
「余人をもって代え難い時にはなんら問題はない」
発言の経緯はこうだ。記者から「安倍4選」の可能性を問われて、「今のご活躍からすれば、この状況においては(4選は)十分ありうること」。さらに「(総裁の任期を限るのは)独裁を防ぐという理由もあったが」と問われ、「余人をもって代え難い時にはなんら問題はない」と言い切った。
実は2016年、「連続2期まで」となっていた総裁任期を「3期」に延長する際にも、当時総務会長だった二階氏は、「余人をもって代えがたし、という状況が生まれてくれば、対応を柔軟に考えていく」として、任期延長を主導した。結果安倍総裁は3期目に入り、二階氏は幹事長に就任した。
そして今回、次の総裁選まで2年半以上もあるのに、「4選」に言及したのはなぜか。党内からは「まだまだ俺が幹事長だ、と言いたいんだろう」「観測気球じゃないのか」などの声が聞こえてくる。
TBS元政治部長で、流通経済大学教授の龍崎孝さんは「例えば、今度の参院選でいい結果が出なかった時、首を切られるかもしれない。しかし、4選を口にした幹事長を、安倍総理としては心情的に切れないかもしれない」という。
二階氏は1993年、自民党を離党、新進党、自由党を経て、2003年復党した。龍崎さんは、「党内では出遅れている。幹事長は念願のポストだった」という。しかも、このところスタンドプレーめいた動きが目立つ。
元民主党の細野豪志氏を二階派に引き入れた際には、「自民党が謙虚に受け入れる。それだけの雅量がないとだめ。喜んで入党を歓迎する」と語り、党内の反発を招いている。