武田真一キャスター「転勤で妻が離職。申し訳なかった」
転勤は家族に与える影響も大きい。とくに深刻なのは、夫の転職による妻の離職問題だ。これまでNHKで4回の転勤を経験している武田真一キャスターは「26歳で最初に転勤したとき、妻は会社を辞めざるを得なくて申し訳なかった」と話すと、青山社長は「奥様のキャリアが中断されたと同時に、奥様の会社からすると、奥様を引き抜かれてNHKに営業妨害されたのと同じ」と指摘した。
そうした配偶者の離職を防ぐ取り組みを行う企業もある。山口県の銀行で働いていた30歳の女性は、夫の転勤で兵庫県に引っ越したが、いまは証券会社で役職も給与も前職と同じように働いている。数社が参加する転籍制度を利用したのだ。
各地に支店を持つアイザワ証券は、山口県の西京銀行、岡山県の笠岡信用組合、東京の第一勧業信用組合と提携して、引っ越し先に支店がない場合に提携企業で同等の職に就くことができるようにした。元の職場に戻ることも可能だ。社員の間には、自分のキャリアを切り開こうという意識も芽生え始めたという。
私鉄11社も「民鉄キャリアトレイン」と呼ばれる同様の取り組みが行われている。
青山社長「転勤がなくなるとは思えませんが、したくない人にさせるのはよくない。一人一人と向き合っていかないと採用もできないし、定着もしません。不人気企業になってしまう」
武田キャスター「経営者も大変ですね」
*NHKクローズアップ現代+(2019年3月12日放送「"転勤"が廃止される!? 働き方の新潮流」)
文
バルバス